2023年のフランス映画製作本数がパンデミック前のレベルに復活、中予算映画が増加

CNCの年次報告書によると、2023年は予算の増加に伴って同国の映画製作本数が急増し、パンデミック前の水準に戻ったことが明らかになった。また、中規模予算の映画本数が増加しているという。

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2023年のフランス映画製作本数がパンデミック前のレベルに復活、中予算映画が増加
Photo by Pixabay 2023年のフランス映画製作本数がパンデミック前のレベルに復活、中予算映画が増加

フランス映画産業を支える組織CNCの年次報告書によると、2023年は予算の増加に伴って同国の映画製作本数が急増し、パンデミック前の水準に戻ったことが明らかになった。

Screen Dailyによると、2023年は合計298本の映画がCNCに承認され、そのうちフランス主導の映画は236本となり、2022年の208本から増加したという。

他国との共同製作映画はコロナ前の水準を維持して120本となり、2017年~2019年の平均119本と同等の数字となった。ただし、映画全体で見ると共同製作は40.3%に留まり、2022年の50.2%から減少。依然として、パンデミック前となる2017~2019年の平均39.6%と並んでいる状態だ。とはいえ、パートナーとなる国は多様化の傾向にあり、2022年の33ヵ国に対して2023年は38ヵ国に増え、過去10年間の平均は39ヵ国となっている。これまでと変わらず、ベルギーはフランス主導となる映画のトップパートナーで、2023年は29本を共同製作。続いてドイツが8本、イタリアが7本となっている。

アニメーション映画は2022年の13本よりも5本多い18本で、ドキュメンタリー映画については2022年の54本から減少し、2023年は40本だったという。

2023年は映画の製作予算も増加

さらに、2023年は映画製作の予算も増加し、総予算は13億4,000万ユーロ(約2,200億円)に。2022年比で13.6%増となり、2017~2019年の平均比よりも12.9%増えた。フランスの提携企業が中心となって11億ユーロ(約1,800億円)を投資し、この数字は2016年と2021年に次いで、ここ10年間で3番目に高い数字をマーク。総予算のうち11億3,000万ユーロ(約2,170億円)がフランス主導の映画に投じられ、前年比で23.4%増、2017~2019年の平均比で14.8%増となっている。

しかし、パンデミック前の数字を3.8%上回ったとはいえ、他国との共同製作映画への投資は前年比で19.8%減の2億1,480万ユーロ(約350億円)となり、これはハリウッドのダブルストライキにより、フランスで米国映画の製作が中断されたことが影響している。

中予算映画の製作本数が著しく増加

Deadlineによると、フランス映画1本の平均製作予算は、3年連続で上昇して2023年は480万ユーロとなり、490万ユーロだった2017年以来で最高を記録した。なかでもパンデミック前に比べて著しく増加したのが、中予算映画の製作本数だという。予算100万ユーロ(1億6,300万円)~400万ユーロ(約6億4,600億円)の長編映画の割合は全体の41.1%を占め、2009年以降で最高の数字に。400万ユーロから700万ユーロ(約11億4,300億円)で製作された長編映画は全体の23.7%となり、2004年以降に最も多かった2022年の15.9%を上回っている。一方で、2023年に高予算映画の本数が倍増したため、100万ユーロ未満の低予算映画は18.6%に低下し、2009年以降で最低となった。

また、2022年に製作された予算2,000万ユーロ(約32億4,900万円)を超える大作映画は4本だったが、2023年にはその倍となる8本が撮影された。マチュー・デラポルトとアレクサンドル・ド・ラ・パトリエールが共同監督を務め、小説「モンテ・クリスト伯」を映画化した『The Count of Monte-Cristo(原題)』、シャルル・ド・ゴール元仏大統領の人生を描く2部構成の伝記映画『De Gaulle(原題)』などが公開待機中だ。

2023年に続いて2024年も、フランス映画界が勢いを取り戻すことが期待されている。

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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