韓国政府、1兆ウォン規模のKコンテンツ制作支援に乗り出す

韓国政府は、大型Kコンテンツの競争力を高める支援をするため、1兆ウォン規模の官民合同ファンドを作ることを発表した。

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韓国政府、1兆ウォン規模のKコンテンツ制作支援に乗り出す
UnsplashのGlenn Carstens-Petersが撮影した写真 韓国政府、1兆ウォン規模のKコンテンツ制作支援に乗り出す
韓国のメディア・コンテンツ産業融合発展委員会は、1兆ウォン(約1,123億円)規模のKコンテンツ支援を含む「メディア・コンテンツ産業融合発展方案」を発表したとMBCニュースなどが報じている。

政府は今年6,000億ウォン規模の「Kコンテンツ・メディア戦略ファンド」を作り、今後2028年までの5年間に政府財政出資と民間資金募集を通じて1兆200億ウォン規模で運営する計画だと明らかにした。また、制作費の急増による事業者の負担を緩和するため、映像コンテンツ制作費の税額最大30%が控除されることとなった。

さらに有料放送の再許可・再承認を廃止し、地上波・総合編成チャンネルの再許可・再承認の期間を7年に拡大する案も推進。オンライン動画サービス(OTT)の拡大など、メディア環境の変化の中で苦戦している国内放送・メディア業界のために支援を増やし、規制は緩和するというものであるが、ハンギョレ新聞は「メディアの公共性及び放送の多様性維持・確保のための制度的な代替案が抜けているという点で、副作用が懸念されるという批判もある」と報じている。

そして政府は、国内OTTのグローバル認知度を高めるため、スマートTV用Kメディアコンテンツ専用チャンネルの拡大運営を実施。今後3年間には、動画配信や翻訳などメディアコンテンツに関わる専門人材を1万人育成する計画とのことだ。

韓国国内のOTTであるWavveやTVINGは、2022年にそれぞれ1,217億ウォン(約136億円)、1,192億ウォン(約133億円)の損失を出している。そのような現状から、Wavveのヒット作「弱いヒーロー」シーズン2の制作見込みが立たず、代わりにNetflixが制作することが決定。「イカゲーム」などの大規模な作品のIPもグローバルOTTに属しており、海外企業の勢力が増している。そのため今回の「メディア・コンテンツ産業融合発展方案」が、国内OTTが危機を脱するための助けになることが期待されている。


《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

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