【ベルリン国際映画祭2024】オープニングはキリアン・マーフィー主演作。日本からは『夜明けのすべて』や黒沢清最新作が選出

第74回ベルリン国際映画祭のラインナップが発表された。Brancでは今年の作品の注目ポイントをまとめる。

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【ベルリン国際映画祭2024】オープニングはキリアン・マーフィー主演作。日本からは『夜明けのすべて』や黒沢清最新作が選出
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  • 『Chime』
  • 『オーガスト・マイ・ヘヴン』
  • 『オーガスト・マイ・ヘヴン』場面写真
  • 『オーガスト・マイ・ヘヴン』場面写真
  • 『夜明けのすべて』
  • 『五香宮の猫』
  • 『五香宮の猫』場面写真

© Internationale Filmfestspiele Berlin / Claudia Schramke, Berlin

2月15日から24日まで開催される第74回ベルリン国際映画祭より、ラインナップが発表された。

本映画祭は、1951年からドイツ・ベルリンにて毎年2月に行われている国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の国際映画祭であり、カンヌ国際映画祭、ベネチア国際映画祭と並ぶ“世界三大映画祭”の一つ。最高賞の“金熊賞”は、コンペティション部門に選出された作品のみしか獲得できない賞となっている。

コンペティション部門の注目作は?

Screen Dailyによるとコンペティション部門の作品は、セバスチャン・スタンとアダム・ピアソン主演のアーロン・シンバーグ監督『A Different Man(原題)』を除き、すべてワールドプレミアで、昨年と同じく6作品が女性監督または共同監督作品、2作品が長編デビュー作となる。

オープニングを飾るのは、キリアン・マーフィー主演の歴史ドラマ『Small Things Like These(原題)』。クレア・キーガンの同名著書を原作とする本作は、アイルランドのマグダレン女子修道院(1820年代から1996年まで、ローマ・カトリックの施設によって運営された、“堕落した若い女性”を更生させるための修道院)に関する真実を明らかにするという物語だ。マーフィーは、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』での演技で賞レースを賑わせており、新作に注目が集まっている。

『Small Things Like These』© Shane O’Connor

カンヌ国際映画祭で新人監督に与えられるカメラ・ドール受賞者のクレール・ブルジェが、『落下の解剖学』のプロデューサーであるマリー=アンジュ・ルシアーニと組んだ長編3作目『Langue Etrangère(原題)』は、フランスとドイツに住む2人のティーンエイジャーのペンフレンドが主人公で、リリス・グラスムグ、新人のジョゼファ・ハインシウス、ニーナ・ホス、キアラ・マストロヤンニが出演する。

『Langue Etrangère』© Les Films de Pierre

2016年に『パーソナル・ショッパー』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞したフランスのオリヴィエ・アサイヤス監督が手掛けるのは、コロナ禍のロックダウンを共に過ごす2組のカップルを描いたコメディ『Suspended Time(英題)』。ヴァンサン・マケーニュ、ミーシャ・レスコ、ナイン・ドゥルソ、ノーラ・ハムザウィらが出演する。

『Suspended Time』© Carole Bethuel

そして2008年以来、コンペティション部門に6作品を出品してきたホン・サンス監督の最新作『A Traveler's Needs(英題)』は、記者会見で映画祭責任者であるカルロ・シャトリアン氏が「人間関係を軽快に、しかし突き刺すように描いている」と評した作品。フランス人女優のイザベル・ユペールを主演に迎えており、2022年に直接受け取ることができなかった名誉金熊賞も授与されるとのことだ。ユペールは以前、カンヌでプレミア上映されたホン監督の『3人のアンヌ』(2012年)と『クレアのカメラ』(2017年)で主演を務めたことがある。

『A Traveler's Needs』© 2024 Jeonwonsa Film Co.

また、マリ出身のアブデラマン・シサコ監督による『Black Tea(原題)』も選出。同監督の長編作品は、2014年にカンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、アカデミー賞にノミネートされた『禁じられた歌声』以来となる。

『Black Tea』© Olivier Marceny

『キャロル』と『ドラゴン・タトゥーの女』でアカデミー賞にノミネートされたハリウッド女優のルーニー・マーラは、メキシコ人監督アロンソ・ルイスパラシオスの『La Cocina(原題)』に出演。ニューヨークのレストランの厨房を舞台にした本作は、ルイスパラシオス監督にとって初のメキシコ国外での作品となる。ルイスパラシオス監督は、2018年に『Museo(原題)』でベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品し脚本賞を受賞、2018年には『コップ・ムービー』でコンペティション部門に出品されたことのあるベルリンの常連だ。

『La Cocina』© Juan Pablo Ramírez / Filmadora

黒沢清監督の最新作ほか、日本からは別部門で出品

『Chime』©Roadstead

コンペティション部門ではないが、日本からは、黒沢清監督の摩訶不思議な恐怖に支配される『Chime』と工藤梨穂監督の男女三人の旅を描いた瑞々しい青春映画『オーガスト・マイ・ヘヴン』ベルリナーレ・スペシャル部門に正式招待された。両作はRoadsteadにて2024年の独占販売を予定している。


また、フォーラム部門には、三宅唱監督最新作の『夜明けのすべて』、想田和弘監督のドキュメンタリー映画『五香宮の猫』が招待されたことが明らかになった。

映画『夜明けのすべて』ロング予告

映画祭に出席予定の俳優は?

『夜明けのすべて』からは、主演の松村北斗(SixTONES)と上白石萌音が参加を予定している。

さらに、以前発表されたように、アダム・サンドラー、キャリー・マリガン、ポール・ダノは、サンドラーが危機に瀕した宇宙飛行士を演じるヨハン・レンク監督の『Spaceman(原題)』のワールドプレミアでベルリン国際映画祭のカーペットに登場する予定だ。そして、昨年のベルリン国際映画祭で審査員を務めたクリステン・スチュワートは、サンダンスでも上映されたクィア犯罪スリラー『Love Lies Bleeding(原題)』で再登場。アマンダ・セイフライドは、トロントでプレミア上映されたアトム・エゴヤン監督の『Seven Veils(原題)』に出演する。

🎥コンペティション部門 作品名(英題)/監督名一覧

  • Another End/ピエロ・メッシーナ(イタリア)

  • Architecton/ヴィクトル・コサコフスキー(ドイツ、フランス、アメリカ)

  • Black Tea/アブデラマン・シサコ(フランス、台湾、ルクセンブルク、モーリタニア、コートジボワール

  • La Cocina/アロンソ・ルイス・パラシオス(メキシコ、アメリカ)

  • Dahomey/マティ・ディオプ(フランス、セネガル、ベナン)

  • A Different Man/アーロン・シンバーグ(アメリカ)

  • The Empire/ブリュノ・デュモン(フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、ポルトガル)

  • Gloria!(原題)/マルゲリータ・ヴィカリオ(イタリア、スイス)

  • Suspended Time/オリヴィエ・アサイヤス(フランス)

  • From Hilde, With Love/アンドレアス・ドレーゼン(ドイツ)

  • My Favourite Cake/ベタシュ・サナイハ、マリヤム・モガッダム(イラン、フランス、スウェーデン、ドイツ)

  • Langue Etrangère(原題)/クレール・ブルジェ(フランス、ベルギー、ドイツ)

  • Who Do I Belong To/メリアム・ジュオーバー(チュニジア、ノルウェー、カタール、サウジアラビア、フランス、カナダ)

  • Pepe(原題)/ネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス(ドミニカ共和国、ナミビア、ドイツ、フランス)

  • Shambhala(原題)/ミン・バハドゥール・バム(ネパール、フランス、ノルウェー、香港、トルコ、台湾、アメリカ、カタール)

  • Dying/マティアス・グラスナー(ドイツ)

  • The Devil’s Bath/ゼヴリン・フィアラ、ヴェロニカ・フランツ(オーストリア、ドイツ)

  • Small Things Like These/ティム・ミーランツ(アイルランド、ベルギー)★オープニング作品

  • A Traveler’s Needs/ホン・サンス(韓国)

  • Sons/グスタフ・モーラー(デンマーク、スウェーデン)

また、現状ドイツはイスラエル・ガザ戦争に対してイスラエルを支持するスタンスをとっており、国際映画祭としての動向も注目されている。

《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。

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