日本画家でありアニメーション作家としても活動する四宮義俊の初長編監督作『花緑青が明ける日に』(英題:A NEW DAWN)が、第76回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが決定した。日本公開は2026年3月6日(金)を予定している。
本作は、文化庁の「文化芸術活動基盤強化基金」によるクリエイター育成プログラム「Film Frontier」の長編アニメクリエイター支援を受けた作品だ。世界三大映画祭の一つであるベルリンのコンペティション部門選出は、日本の長編アニメーション監督のデビュー作としては異例の快挙であり、官民連携によるクリエイター支援の実りを示す事例としても注目される。
日本映画として33年ぶりの快挙、宮崎駿・新海誠に続く選出
第76回ベルリン国際映画祭コンペティション部門への選出は、日本のアニメーション映画としては『千と千尋の神隠し』(第52回/宮崎駿監督)、『すずめの戸締まり』(第73回/新海誠監督)に続く系譜となる。
特筆すべきは、本作が四宮義俊にとって初の長編監督作であるという点だ。長編デビュー作が同映画祭のコンペティション部門に選出されることは極めて珍しく、日本映画としては第43回の『夢の女』(坂東玉三郎監督)以来、33年ぶりの選出となる。
四宮監督は、日本画家としての活動を軸に、新海誠監督作品や片渕須直監督作品にも参加してきた経歴を持つ。本作はフランスの気鋭スタジオ「Miyu Productions」との日仏共同製作であり、2024年の第77回カンヌ国際映画祭における「アヌシー・アニメーションショーケース」にも選出されるなど、制作段階から国際的な注目を集めていた。

「場所と時間」を巡る物語と、多才なキャスト・スタッフ陣
物語の舞台は、創業330年を誇る花火工場・帯刀煙火店。再開発による立ち退き期限が迫る中、燃やすと青くなる幻の顔料「花緑青(はなろくしょう)」を用いた花火<シュハリ>と、そこで育った若者たちの未来を巡る2日間のドラマが描かれる。
声優陣には、若手実力派俳優の萩原利久と古川琴音がW主演として起用され、共に初声優に挑戦した。脇を固めるのは入野自由、岡部たかしといった実力派だ。
四宮監督は選出にあたり、「数多ある可能性の一つ一つが画面に結晶として現れ融合した結果ベルリンまで届いたのだと思います」とコメントを寄せている。
グローバル展開を後押しした「Film Frontier」の支援体制
本作は前述した通り、日本のコンテンツ産業強化を目指す育成プログラム「Film Frontier」の支援を受けている。
「Film Frontier」は、文化庁の補助金により独立行政法人日本芸術文化振興会に設置された「文化芸術活動基盤強化基金」を活用した包括的な支援プログラムだ。次代を担うクリエイターの海外展開を目的とし、指導・助言、海外フェスティバルへの派遣、ネットワーキング形成の促進などを行っている。
『花緑青が明ける日に』は、同プログラム内の「長編アニメクリエイター支援」の対象企画として支援を受けてきた。
今回、デビュー作がいきなり世界三大映画祭のコンペティション部門へ選出されたことは、作家個人の才能に加え、こうした「企画開発段階からの国際展開を見据えた伴走型支援」が機能した結果と言えるだろう。





