SAG-AFTRAとAMPTP、新契約の詳細が明らかに

残留報酬やAI利用についての詳細が明らかになった。

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SAG-AFTRAとAMPTP、新契約の詳細が明らかに
Photo by Mario Tama/Getty Images SAG-AFTRAとAMPTP、新契約の詳細が明らかに

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映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)と映画テレビプロデューサー同盟(AMPTP)の暫定合意について、さらなる詳細が明らかになった。

先週明らかにされたこの協定案は、先週末にSAG-AFTRAの理事会の86%によって承認された。今後は組合員による批准が行われ、12月5日に終了する予定だ。これにより、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーやディズニー、NetflixやApple TV+まで幅広い企業を代表するAMPTPとの間の118日間に及ぶストライキに終止符が打たれることになる。

TBI Visionによると、最低賃金の初年度7%引き上げと10億ドル相当の福利厚生・賃金プランが含まれているとのことだ。また、SAG-AFTRAの全国理事会が承認した新契約案では、組合員はオリジナルシリーズや映画で高い業績を上げた場合「ストリーミング参加ボーナス」と呼ぶものを受け取る権利が与えられる。

最初の提案でSAG-AFTRAは、プロジェクトがストリーミングサービスにもたらした収益の2%(後に1%に引き下げられた)をカットし、シリーズや映画の出演者に分配するよう求めていた。さらにSAG-AFTRAは、測定会社パロット・アナリティクスが独自に開発した視聴者需要指標とストリーミング配信事業者から公開されている収益額を用いて、どのタイトルがどの程度の収益をプラットフォームにもたらすかを算出する「コンテンツ評価」ツールの使用も提案していたが、AMPTPはこのアイデアに難色を示し、このような収益分配を導入することに「根本的な反対」があると述べた。

10月に交渉が再開されるとSAG-AFTRAは、ストリーミングプラットフォームの全世界の加入者数に、視聴されたコンテンツの割合を乗じ、四半期あたり27.6セントのコスト係数をかけるという加入者あたりのモデルにシフトさせた。


The Hollywood Reporterが報じたところによると、結果的に、追加の残留報酬は米国内のストリーミングサービス加入者の20%以上に相当する人数が、テレビシーズンまたは映画を放映年の最初の90日間に視聴した場合に発生し、収入はSAG-AFTRAとAMPTP双方の代表が管理する基金に入ることになる。ボーナスの75%は基準に達した出演者らに支払われ、残りの25%は未決定のガイドラインに基づき、評議員によって分配方法が決められる。

また、エキストラ俳優は11%の賃上げを受け、日当は187ドルから207ドルに上昇。シリーズ出演者には153%増の転勤手当(最高で月5,000ドルまで)が渡されるようになる、というようなことも明らかになった。

AIは交渉の最終的なハードルのひとつであり続けたが、俳優の許可を得て、報酬が支払われれば“デジタル・レプリカ”に使用できることが可能となった。

この合意は、全米脚本家組合(WGA)がストライキを終結させてから1カ月後に成立したもので、数週間以内に番組を制作に復帰させる準備が始まり、慌ただしくなっているという。「ストレンジャー・シングス 未知の世界」や「エミリー、パリへ行く」「イエローストーン」「NCIS ~ネイビー犯罪捜査班」シリーズに至るまで、さまざまな番組の制作が遅れており、特に放送局は5月のシーズン終了までに各番組がシーズンを乗り切れるよう、早急に制作を開始しようとしているそうだ。

《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。