全米脚本家組合、148日に渡ったストライキの解除を決議。合意内容の詳細も明らかに

ハリウッドを中心に行われていた全米脚本家組合(WGA)のストライキが、正式に終結したとVarietyが報じている。

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全米脚本家組合、148日に渡ったストライキの解除を決議。合意内容の詳細も明らかに
全米脚本家組合、148日に渡ったストライキの解除を決議。合意内容の詳細も明らかに

Image byMohamed HassanfromPixabay

ハリウッドを中心に行われていた全米脚本家組合(WGA)のストライキが、正式に終結したとVarietyが報じている。

ストライキが開始して148日目となる9月26日、WGA理事会と評議会は、映画製作者協会(AMPTP)との新契約に関する暫定合意を受け、27日の0時1分(PT)付けでストライキ命令を解除することを全会一致で決定した。つまり、最終的な批准投票前であっても、作家たちは仕事に戻ることができるようになったのだ。

批准投票は10月2日から10月9日にかけて行われる。WGAは今週、契約の詳細について話し合うためにメンバーミーティングを開催。ストライキで疲弊した組合員からは容易に批准されると予想されている。

また、WGAは94ページの契約書全文と新条件の概要を発表した。The New York Timesは、WGAによればストリーミングの海外視聴に対する残留報酬は76%増加すると報じている。さらに脚本家は初めて、ストリーミングサービスからアクティブな加入者の割合に応じたボーナスを受け取ることができるようになる。

争点となっていたテレビ番組の最低スタッフ数については、20週以上放送される番組の初シーズンでは、ライターズルームに最低3人の脚本家兼プロデューサーを雇わなければならないとされた。追加シーズンの最低人員はエピソード数に連動する。

AIに関しては、スタジオはAIツールを使って原作を書き直すことはできないとされているが、脚本家は所属する会社が許可すればその技術を援助に使うことができる。そしてWGAの譲歩により、スタジオはAIツールの改良や実験のために、すでに所有している映画やテレビの脚本を使用することができるようになる。

さらに、WGAによれば暫定契約には年間推定2億3,300万ドル相当の改善策が含まれているという。交渉が始まった際、WGAは4億2,900万ドルの改善策を提案し、スタジオ側は8,600万ドルで対抗していた。

今回の全会一致によるストライキ終結の決定は、脚本家とスタジオ側が9月24日に新たな3年契約に向けた交渉を成功裏に終えてから2日後のこと。WGAは暫定合意を発表した声明の中で、「私たちは、この合意は例外的なものであり、組合員のあらゆる部門の作家にとって有意義な利益と保護をもたらすものであると、大きな誇りをもって言うことができる」と述べた。

なお、映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)は75日間のストライキを続けており、交渉の場に戻る順番を待っている。

《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。