【7/20】ハリウッドストライキ最新ニュースまとめ

A24の2つのプロジェクトは制作続行/ストライキの仲介人が登場?/ストライキが夏興行に与える影響は?…etc.

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【7/20】ハリウッドストライキ最新ニュースまとめ
Photo by Mario Tama/Getty Images 【7/20】ハリウッドストライキ最新ニュースまとめ

Photo by Mario Tama/Getty Images

5月から全米脚本家組合(WGA)が、そして7月に入り映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)もストライキを決行し、ハリウッド映画業界は歴史的瞬間を迎えようとしている。その分、様々な作品や世界中の映画製作・宣伝にも影響が出てきている。

A24の2作品を含むインディーズ映画39作品の撮影を承認

Varietyによると、SAG-AFTRAは39の独立プロダクションに対し、AMPTPとの契約に縛られていないことを確認した上で、ストライキ期間中の撮影を許可したとのことだ。

このリストには、独立系制作会社A24の2つのプロジェクト、アン・ハサウェイとミカエラ・コール主演の『Mother Mary(原題)』とポール・ラッドとジェナ・オルテガ主演の『Death of a Unicorn(原題)』も含まれており、A24は映画テレビプロデューサー連盟には加盟していないという。また、マシュー・マコノヒー主演の『The Rivals of Amziah King(原題)』、マーク・ウォールバーグ主演でメル・ギブソン監督の『Flight Risk(原題)』、マッツ・ミケルセンとシガニー・ウィーバー主演の『Dust Bunny(原題)』、レベル・ウィルソン主演の『Bride Hard(原題)』、イエスの生涯を描くTVシリーズ「The Chosen(原題)」なども撮影が許可された。

ストライキの裏で少しずつ動きが

ストライキを起こし対立している両者の声がより大きくなってきている。WGAとSAG-AFTRAはともに、映画会社が「貪欲で自分たちの生活を破壊しようとしている」と言い、スタジオは「パンデミックからまだ回復しておらず、ストリーミング配信の損失に苦しんでいる業界の悲惨な状況を把握できていない」として俳優と脚本家を非難している。一部のトップエージェントの中には、スタジオに対してではなく、自分たちのクライアントに対して激怒している者もいるようだ。

そんな中、The Hollywood Reporterの情報筋によると、大手エージェンシー企業であるCAAのブライアン・ロード氏とエンデバーのアリ・エマニュエル氏は協力し、スタジオのチーフたちにSAG-AFTRAと和解するよう働きかけているという。また、連邦調停和解サービス(FMCS)に仲介を求めている者もいる。それぞれの計画がうまくいくかどうかはまだ分からないとされているが、対立する両者の発言の食い違いでさらなる混乱を迎えている今、何か新たな刺激を与えなければ、映画業界はさらに悲惨な状況を迎えることになってしまうかもしれない。

ハリウッドのストライキが夏の興行を混乱させる可能性

トム・クルーズにとって大ヒット映画のチケットを売る最も効果的な方法のひとつが、自らの命がけのスタントエピソードなどを語ることだったが、『ミッション:インポッシブル/デッド・リコニング PART ONE』については、ストライキの影響でそのような話をすることができなかった。このように、ストライキは映画宣伝および今後の興行に大きな影響を与えているとVarietyが報じている。

一方で、ストライキが始まる前に雑誌の表紙やインタビューなどで効果的なマーケティング・キャンペーンを展開することができたグレタ・ガーウィグ監督の『バービー』、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』などは影響を受けないだろうとされている。

映画コンサルティング会社を経営するデビッド・A・グロス氏は、「8月の映画は、個人的な出演への依存度が低く、うまくいけば広告やその他のマーケティング活動で補うことができる」と言う。そのような作品では、監督たちがより大きな役割を担って映画を宣伝する可能性も高い。またスタジオは、予告編やTVスポットなど、その他の宣伝活動への支出を増やしていくと考えられている。そして今後公開される映画の中には、ストライキに備えてインタビューやその他のマーケティング資料を準備したものもある。

秋以降もいくつかの対策が控えているが、スタジオ関係者によれば、SAG-AFTRAと映画会社が夏の終わりまで対立したままであれば、映画のスケジュールが後ろにずれ込む可能性が高いという。また、製作が無期限に保留されることで、2024年以降に予定されているいくつかの大作が公開日を逃す可能性も高い。

《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。