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フィリピンの検閲当局は、『バービー』のフィリピンでの公開に許可を出したが、ワーナー・ブラザースに対し「九段線」とされる境界線の地図をぼかすよう要求したとScreen Dailyは報じている。グレタ・ガーウィグが監督を務め、マーゴット・ロビーとライアン・ゴズリングが主演のファンタジー・コメディ『バービー』は、7月19日にフィリピンで劇場公開される予定だが、作中に登場する地図が問題になっている。中国が南シナ海の一部の領有権を主張するために独自に使用している「九段線」が描かれていると議論になり、7月4日には東南アジアの映画・テレビ審査分類委員会(MTRCB)が現地公開について審議中であることを初めて発表した。
この問題により、ベトナムの国家映画評価委員会は、ベトナム国内における『バービー』の商業上映を許可しないと発表している。
フィリピンの検閲当局は「映画内の風変わりな地図では『九段線』は描かれていない」と結論付けた。加えて「地図はバービーランドから“現実の世界”へのバービーの架空の旅路を描いており、それがストーリーの不可欠な部分となっている」と述べた。
フィリピン上院議員のフランシス・トレンティーノ外務委員長に宛てた別の書簡の中でMTRCBは、ワーナーに対し、さらなる混乱を避けるため境界線をぼかすよう要請したとされている。この書簡は7月11日付で記者団に公開されたもので、線が「U字型ではなく、9つの代わりに8つのドット/ダッシュがある」こと、そして「フィリピン、マレーシア、インドネシアが地図上で見えないこと」を指摘している。
また、MTRCBは公開禁止となった映画『スノーベイビー』(2019年)や『アンチャーテッド』(2022年)で見られる地図とは対照的であることも付け加えた。
なお、映画『バービー』は日本では8月11日より全国公開される。