『バービー』や『スパイダーバース』最新作が一部海外で上映禁止になった理由とは？

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今夏の期待作として注目されている実写版映画『バービー』と現在公開中のアニメーション映画『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』が海外の一部の国で上映禁止となり、物議を醸している。一体、何が問題で公開中止となったのか、その経緯をまとめた。

劇中に登場する地図が問題に

そして、文化・スポーツ・観光省傘下にあるベトナム映画局のヴィ・キエン・タイン局長が、国家映画評価委員会の決定により、ベトナム国内における『バービー』の商業上映を許可しないと発表した。2016年に国際連合は、全会一致で九段線の有効性を否定する裁定を下したが、中国はその是認を拒否している。

米ワーナー・ブラザース・ピクチャーズが上映禁止に反応

劇中に登場する子どものお絵描きのような地図は、クレヨンでイルカや船、太陽や動物などが水域に描かれている。映画でバービー（マーゴット・ロビー）は、現実世界から隔たれたピンク色の夢の世界で自身の存在危機を感じ、変わり者のバービー（ケイト・マッキノン）から自分探しの旅に出るよう勧められ、他の仲間たちが気まぐれで作った「現実世界」への地図を渡される。情報筋は、問題の地図に描かれた九段線は「旅路の線」であり、アニメ作品や子どもの絵でよく描かれる、キャラクターがどこかへ、あるいはどこから旅をしたかを表す「連続したダッシュ線」にすぎないと述べているとのこと。

フィリピンも公開を検討中

ベトナムの『バービー』上映禁止に続き、フィリピン当局も同等の処置を検討している。フィリピンはベトナムとブルネイ、マレーシアと同様に南シナ海の領有権を主張しており、地元メディアによると、フィリピンで上院外交委員会副委員長を務めるフランシス・トレンティーノ上院議員は、「映画『バービー』に無効とされた九段線が本当に描かれているのなら、フィリピンの主権を否定するものとして、映画・テレビ審査分類委員会（MTRCB）は公開を禁止する義務があります」と述べているという。同上院議員は、『バービー』の問題となっているシーンの編集をワーナーに提案するなど妥協案を検討する意向のようだが、スタジオが同意するかどうかは定かではない。

なお、九段線が原因で公開中止となった映画は、『バービー』だけではない。これまでに、『アンチャーテッド』やアニメ映画『スノーベイビー』も九段線の描写が問題となり、上映禁止となっている。

『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』がアラブ首長国連邦で上映禁止に

また6月には、アニメーション映画『スパイダーマン：アクロス・ザ・スパイダーバース』が、公開を予定していた6月22日のわずか1週間前にアラブ首長国連邦（UAE）で上映禁止になったことも報じられた。