サウジアラビア文化開発基金は、先週リヤドで開催された映画産業専門のイベント「Ignite the Scene」で映画部門融資プログラムを正式に発表した。文化開発基金の最高戦略・事業開発責任者であるナジュラ・アルノメア氏は、月曜日のVarietyとのインタビューで「サウジのソフトマネーは2つの部分に分かれており、1つは融資に割り当てられ1億5,400万ドル、もう1つは投資に割り当てられ8,000万ドルである」と述べた。
このサウジアラビア優遇措置の融資要素は、サウジアラビアの銀行LendoとSukuk Capitalという2つの金融機関を通じて提供される。また、この融資は国内企業およびサウジアラビアに法人かパートナーを持つ外国企業を対象としている。長編映画、ドキュメンタリー、テレビシリーズの制作に関わるすべての側面に適用され、開発から配給、ポストプロダクションまで含まれるとのことだ。対象となるプロジェクトはすべてサウジアラビアで撮影される必要はないが、現地の文化的基準を満たす必要があり、少なくとも25%の費用がサウジアラビアに投資される必要がある。また、クルーの25%をサウジアラビア人で構成する必要がある。
アルノメア氏は「融資の対象は、制作プロジェクトだけでなく、制作にサービスを提供する会社(映画の小道具を提供する会社など)、マーケティングや流通サービス、インフラ整備も含まれる」と述べた。なお、ここでいう「インフラ」とは映画スタジオのことだと明言した。このソフトマネーは、サウジアラビアで急成長している展示会部門を支援するためのものではないとのことだ。
さらに、アルノメア氏は、サウジアラビアの8,000万ドルの投資要素に関する詳細は、今年後半に国際映画祭で発表される予定だと述べた。2017年に35年間続いた宗教関連の映画禁止令を解除して以来、サウジアラビアは映画産業活動のあらゆる面でブームを巻き起こしており、劇場興行収入では中東でトップとなっている。サウジアラビアは、サウジアラビアのスタッフやタレントを広く配置し「文化、歴史、人々、そして王国の多様な景観を紹介する」映画製作に対して、製作費の最大40%をキャッシュバックする取り組みを昨年カンヌで発表していた。
これまでにサウジで撮影されたハリウッドの作品には、ジェラルド・バトラーのアクションスリラー『Kandahar(原題)』やイギリスのルパート・ワイアット監督の歴史大作『Desert Warrior(原題)』などがある。