サウジとシンガポールのファンド、韓国のカカオエンターテインメントに9億6,600万ドルを投入

世界のテレビ、音楽、映画で高い評価を得ている韓国のエンターテインメント業界に、またもや巨額の資本が投入されることになりそうだ。

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サウジとシンガポールのファンド、韓国のカカオエンターテインメントに9億6,600万ドルを投入
サウジとシンガポールのファンド、韓国のカカオエンターテインメントに9億6,600万ドルを投入

世界のテレビ、音楽、映画で高い評価を得ている韓国のエンターテインメント業界に、またもや巨額の資本が投入されることになりそうだ。

K-POP、ウェブトゥーン、オンラインストーリーテリングにまたがるカカオエンターテイメントは、サウジアラビアの公共投資ファンド(PIF)とシンガポールのGICという政府系ファンドが引き受けた債券発行により、9億6,600万ドル(1兆2千億韓国ウォン)を調達したと発表している。

この動きは、2021年のHYBEの上場、CJ ENMのTVINGストリーミング・プラットフォームへのNaverからの資金注入、CJ ENM StudiosとSLL(JTBCとJ Contentree)の新しい大規模制作拠点の立ち上げ、韓国のウェブトゥーン・プラットフォームによる国際配信構築への複数の動きの後に続いている。

韓国のハイテク大手であるカカオ社の非上場子会社カカオエンターテイメントは、2021年にウェブトゥーン出版社のカカオページと、音楽とテレビ制作のシングルの集まりであるカカオMを合併して設立された。バラムピクチャーズとBHエンターテインメント、韓国最大級のタレントマネジメント会社であるスターシップエンターテインメント、映画製作のジップシネマなどが含まれる。カカオエンターテインメントは、韓国の大手音楽配信会社であるMelonも運営している。

今回の資金調達により、カカオエンターテインメントは国際展開をさらに推し進め、さらなる投資や買収を行う予定だという。今回の出資を発表した声明の中で、特に北米におけるストーリーテリングの能力と知的財産の構築にこの資金を使うつもりであると述べている。

カカオエンターテイメントの最高投資責任者であるペ・ジェヒョン氏は「これは、エンターテイメント業界の複数のカテゴリーにまたがるカカオエンターテイメント独自の知的財産(IP)バリューチェーンのグローバル競争力と将来の成長性を証明するものです」と述べた。さらにペ氏は、調達資金の半分は、ストーリー、IP、音楽など、同社の既存のグローバル事業の成長に充て、残りの半分はM&Aに使われる見込みであると述べた。

20年ほど前にスマートフォンの普及とともに登場したウェブトゥーンは、韓国や海外の数多くのヒットテレビシリーズの原作となっている。例えば、Netflixの「今、私たちの学校は…」や 「梨泰院クラス」、AppleTV+の「Dr. ブレイン」や Disney+の「Moving(原題)」など。カカオエンターテイメントはすでに、米国のウェブトゥーンプラットフォーム「Tapas」、連載小説アプリ「Radish」、ファンタジー小説プラットフォーム「Wuxiaworld」を所有している。

「Radish」や「Wattpad」(2021年に韓国のテック系ライバル会社のNaverが買収)などのオンライン小説プラットフォームも、Nostromo PicturesによるNetflixオリジナルの『A Través de Mi Ventana(原題)』、『キスから始まるものがたり』や『アフター』など映画やシリーズとして映像化され、ファンベースを確立したIPを生んでいる。

Sources:Kakao EntertainmentVariety
《Branc編集部》

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