数を減らす劇場単独アニメ…『かがみの孤城』ヒットはその風向きを変えられるか?

テレビアニメの劇場版作品の大ヒットが続く中、元からの知名度が比較的低い劇場単独のアニメーション作品は中々ヒットに恵まれない現状にある。そんな中、昨年12月に公開された『かがみの孤城』が大ヒット中だ。

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『かがみの孤城』
©2022「かがみの孤城」製作委員会 『かがみの孤城』
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『劇場版 呪術廻戦 0』『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』『ONE PIECE FILM RED』『すずめの戸締まり』など昨年は数々のアニメーション作品が快進撃を見せてきた。『THE FIRST SLAM DUNK』もつい先日100億円を突破したばかりだ。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の歴史的ヒットを皮切りに、100億円を越えるアニメーション作品が続々と生まれてきたわけだが、多くの作品に共通して言えるのはテレビアニメの劇場版作品であると言うこと。つまり、この大ヒット現象は元から知名度の高い作品に見られる傾向がある。『すずめの戸締まり』も “新海誠”監督作品としてのブランドがあり知名度は十分だ。

その一方で、元からの知名度が比較的低い劇場単独のアニメーション作品は中々ヒットに恵まれない現状にある。(ここでは、テレビアニメの劇場版でないオリジナルアニメーション映画や小説・漫画などを原作としたアニメーション映画を“劇場単独のアニメーション作品”と定義する。)2016年の「君の名は。」大ヒット以降、新海誠監督に続くヒットメイカーを誕生させるべく多くの劇場アニメーション作品が企画、公開されてきたが、これまで特大ヒットには至っていない。

そもそもヒットの基準がどこなのか、と言う話だがここで簡単に解説すると、まずアニメーション映画の制作費には約1億~3億円ほどかかると言われている。そこに宣伝費も1億円ほど追加でかかることを加味すれば、予算はざっくり2~4億円ほどになると考えられる。仮に制作費を3億円と仮定した場合、興行収入は映画館と配給会社で50%ずつ折半となるため、後の配信サービスやDVD売上で1億円回収できたとしても、興行収入としては黒字化のために5億円ほどの売上を上げる必要がある。

この5億円という数字はアニメーション映画のヒットを分ける指標とも言えるが、この壁は中々に高いものとなっている。特に、コロナ禍以降5億円を越えた劇場単独のアニメーション作品は、新海誠監督の『すずめの戸締まり』と細田守監督の『竜とそばかすの姫』、そしてキングコング西野亮廣氏が手がけ話題になった『えんとつ町のプペル』のみと一握りの作品しかこの壁を越えるには至っていない。約20作品の中からわずか3本と、かなり厳しい状況が続いている。

そんな中、昨年12月に公開された『かがみの孤城』はその5億円の壁を難なく乗り越えた。1月22日時点での累計興行収入は8億3,544万4,430円となっている。正式な成績発表こそないものの、1月27日からは第3弾の入場者プレゼントも配布があったことから現時点では10億円に迫る成績になっていると推測できる。さらに、2月23日(木)からは第4弾入場者プレゼントとして「スペシャルイラストカード」の全国配布が決定。同じく23日(木)にはティーチイン付き上映会の開催も決定している。公開からまもなく2ヶ月となる今も上映が続いており、原作小説の売上増加など相乗効果も含め、十分な利益を上げることに成功した。


《タロイモ》

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中学生時代『スター・ウォーズ』に惹かれ、映画ファンに。Twitterでは興行収入に関するツイートを毎日更新中。

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