株式会社アットムービーは9月8日、同社が主催するアクセラレータープログラム「ATMOVIE GLOBAL TRACK」について、2026年10月6日に開催される第31回釜山国際映画祭へ派遣する選抜フェロー4名と、現地で発表するオリジナル企画を正式決定したと発表した。
選ばれたクリエイターは、アジア最大級の映画マーケットで世界の映画関係者に向けたピッチングや商談に臨み、国際共同製作とグローバル市場への展開を目指す。4名は同プログラム主催のピッチイベント「JAPAN PITCH」にも登壇する予定で、詳細は追って公開されるという。
国際共同製作を前提とした人材育成プログラム、カンヌに続き釜山へ
ATMOVIE GLOBAL TRACKは、日本から国際共同製作へ挑む次世代の映画クリエイターを対象としたアクセラレーター・プログラムである。参加フェローは、長年映画製作に携わるプロフェッショナルによる実践的な講義やメンタリングを通じてオリジナル企画を磨き、国際映画祭等で開催される「JAPAN PITCH」でのピッチを経て、国際共同製作に向けた機会獲得を目指す構造となっている。
同プログラムは、独立行政法人日本芸術文化振興会に設置された「文化芸術活動基盤強化基金(Japan Creator Support Fund)」の「クリエイター等支援事業(育成プログラム構築・実践)」の一つとして採択され、実施されている。2026年5月のカンヌ国際映画祭では既に「JAPAN PITCH」を開催しており、その模様は公式レポートで公開済み。今回の釜山はこれに続く海外マーケットでの展開となる。
選抜フェロー4名、それぞれの企画で世界市場に挑む
今回選出されたのは、国内で実績を積みながら、独自の文化的背景や人間の心の機微を「世界共通のテーマ」へと昇華させたオリジナル企画を持つ4名である(五十音順)。
木下雄介氏は、早稲田大学在学中の自主映画『鳥籠』でぴあフィルムフェスティバル準グランプリおよび観客賞を受賞。PFFスカラシップによる長編『水の花』が2006年ベルリン国際映画祭で上映されたほか、是枝裕和総合監修によるアジア4カ国・地域の国際共同プロジェクト『十年 Ten Years Japan』の一編「いたずら同盟」を手がけた。Ties That Bind、Talents Tokyo、台北FPPなど国際共同製作の育成事業に参加歴を持ち、長編企画『帝国の子供たち』でフェローに選出された。2026年には株式会社spectraを設立している。

齋藤汐里氏は2013年にテレビ業界でキャリアを開始し、ドキュメンタリーや旅番組で監督・撮影・編集を担当。約10年間ニューヨークを拠点に活動し、2021年に映像制作会社mimosa合同会社を共同設立した。短編ドキュメンタリー『たゆたい(Floating in Between)』でSSFF & ASIA 2023優秀賞を受賞しており、今回は初の長編ドキュメンタリー『OMUSUBI』の企画・監督として参加する。

定谷美海氏は、CM、テレビシリーズ、映画などを手がける映像監督。CM制作会社でプロダクションマネージャーを経験した後にカナダへ渡り、2020年の帰国後は監督として活動している。『Colors Under the Streetlights』(2024年)がバンクーバー国際映画祭ショートフィルム・コンペティションに正式出品されるなど短編で実績を重ねており、本プログラムへの参加を機に長編デビューに向けた企画・脚本開発を進めている。

ソウジ・アライ氏は、東京を拠点とするプロデューサー・俳優。俳優として濱口竜介、管虎、三池崇史らの作品や、Apple TV+『Pachinko』、HBO『Tokyo Vice』などの国際作品に出演する一方、プロデューサーとして日韓合作短編『Route 7』(釜山国際短編映画祭観客賞)、国際共同製作長編『The Penthouse』などを手がけてきた。2026年カンヌ国際映画祭では『Their Own Sake』で同プログラムの代表フェローに選出され、現地ピッチでも評価を得ている。

「作品の海外輸出ではなく、最初から世界と共に作る」
チーフプロデューサーの森谷雄氏は、「単なる作品の海外輸出ではなく、最初から世界のパートナーと共に作る『国際共同製作』の実現を目指してクリエイターの育成・支援を行っている」とプログラムの狙いを説明。今回のフェローについて「世界に誇れる独自の視点と情熱を持った素晴らしい才能ばかりだ」とし、「釜山の地で彼らのオリジナル企画が世界のクリエイターと出会い、新たな映像作品として結実する第一歩となることを確信している」とコメントした。
プログラム公式サイトはhttps://global-track.net/ja。








