ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社(以下、ディズニー)は11月4日、韓国のエンターテインメント企業CJ ENM傘下の大手動画配信サービス「TVING(ティービング)」と、複数年にわたるコンテンツ提携を結んだことを発表する記者発表会を開催した。
これにより、これまでTVINGのオリジナル作品群が、ディズニープラスを通じて日本で視聴可能となる。
ディズニープラス内に「TVINGコレクション」が誕生
今回のパートナーシップ締結により、日本のディズニープラスに「TVINGコレクション」と題した新たな専用コーナーが設置されることが発表された。
質疑応答でTVINGのジュリー・チョイCEOが明かしたところによると、11月6日に日韓同時配信される『親愛なるX』を皮切りに、今後制作されるTVINGの新作は、基本的にディズニープラスを通じて日本で独占的に配信されることになる。また、過去のTVINGオリジナル作品やCJ ENMの主要なドラマラインナップについても、「権利関係上含まれない数作品を除き、大多数の作品が(TVINGコレクションに)含まれる」と説明。

日本の視聴者は、ディズニープラスに加入していれば、追加料金なしでこれらのTVINGコンテンツを楽しめる。ディズニーの日色保代表取締役社長は、この点について「料金プランに変更はない。大サービスだ」と述べ、会場の笑いを誘った。
両代表が語る提携の意義:「最高のKコンテンツ」と「最高のストーリーテリング」の出会い
発表会には、ウォルト・ディズニー・ジャパンの日色保代表と、TVINGのジュリー・チョイCEOが登壇し、今回の提携への期待を語った。
日色氏は、TVINGを「韓国で最も勢いがあり、革新的な映像プラットフォームの一つ」と高く評価。「ディズニーのグローバルコンテンツや日本・アジア発のオリジナル作品に加え、TVINGの感情豊かな韓国ドラマがラインナップに加わる。特に韓国ドラマの人気を牽引する若い世代の皆様に、より魅力的な作品をお届けできる」と期待を寄せた。

また、この提携は「変化する視聴トレンドに柔軟に対応していくというディズニーの戦略を象徴するものであり、私たちにとって大きな一歩」と位置付けた。ディズニープラスでは『ムービング』などの韓国コンテンツが成功を収めているが、ストーリーテリングに優れたTVINGの作品群が加わることで、既存の幅広いファン層に対しても「さらに素晴らしい視聴体験を提供できる、非常に重要な提携だ」と強調した。
チョイ氏は、TVINGがCJ ENMやスタジオドラゴンといった制作能力を基盤に成長してきた「韓国No.1のOTTプラットフォーム」であると紹介。グローバル進出の第一歩として日本市場を選び、そのパートナーとしてディズニーを選んだ理由を「最高のKコンテンツを持つTVINGと、全世界で最高のストーリーテリングを持つディズニープラスとの出会いだ」と表現した。
日本市場については「米国、中国に次ぐ大きなメディア市場であり、多様なコンテンツが消費され、デジタル分野での成長ポテンシャルも非常に大きい」と分析。『親愛なるX』をはじめ、『悪党たち』『ロト1等も出勤します』『調理兵、伝説になる』など、厳選された最上級のKドラマを日本の視聴者に届けることへの自信を見せた。

クリエイターが語るKコンテンツ「ヒットの秘訣」
発表会後半には、今後ディズニープラスで配信されるTVING作品を手がける4人のトップクリエイターが登壇し、作品の魅力や日韓コンテンツの親和性について語った。
イ・ウンボク監督(『親愛なるX』)
『トッケビ』『太陽の末裔』などで知られるイ監督。自身の作品が日本で愛される理由を「日本視聴者の鑑識眼が高いこと」、そして「人間への礼儀や善悪への問いといった東洋的な価値観を共有しているからではないか」と分析した。
11月6日に配信開始となる新作『親愛なるX』は、人気ウェブトゥーンが原作の心理スリラー。監督は「原作のキャラクター性を維持しつつ、ドラマならではの感情の深さ、ビジュアル、音楽で、目を離せない没入感の強い作品を目指した」と語った。
チン・ヒョク監督(『悪党たち』)
過去に日本のテレビ朝日とテレビドラマ『魔物』を共同制作した経験を持つチン監督は、日韓の制作現場について「文化的な共通点が多く、大きなシナジーを生む可能性を感じた」と語った。
12月に配信予定の新作『悪党たち』は、ハードコア犯罪スリラー。「登場人物に善人が一人もいない」という異色の作品であり、「家族親和的なディズニープラスのイメージの中で、良い意味で異質なコンテンツになるだろう」と期待を込めた。
オ・グァンヒ プロデューサー(『ロト1等も出勤します』)
『ソンジェ背負って走れ』や『キム秘書はいったい、なぜ?』などを手がけたオ氏は、Kロマンスの成功の秘訣を「関係性の美学」と「共感できるキャラクター造形」にあると語る。
新作『ロト1等も出勤します』は、「ロト1等に当選したが、会社を辞めるには微妙な金額」を手にした主人公の物語。「大きな成功物語ではなく、むしろお金に余裕ができたことで他者を理解し、内面的に成長していく姿を描く。こうした小さな、しかし確かな物語が現代の視聴者に響くはずだ」と魅力を説いた。
イ・ヘヨン プロデューサー(『調理兵、伝説になる』)
『涙の女王』などを手がけたイ氏は、今後配信予定の『調理兵、伝説になる』について詳細を語った。
同作は、現実的な「軍隊」を舞台に、主人公が「料理」を通じて「ゲームクエスト」をクリアしながら成長していく物語だという。「料理、成長、チームワークというテーマは、『深夜食堂』のように日本でも愛される普遍的な要素。軍隊という非日常な舞台を覗き見る面白さもある」と、日本市場でのヒットに自信を見せた。

ディズニープラスでは、あす5日よりTVINGの作品、約60作品を日本国内で順次独占配信する予定だ。

              







 
    
    
    
    
        
        
        
          
          
          
          
          
          
        
        
        
        
        
        