【NEC調査】IP事業の海外展開、カギは「データ活用」に。7割が重要視も人材不足が課題

NECは2025年8月6日、「IP事業者の課題」に関する調査結果を発表。コンテンツ(IP)事業者の7割以上がビジネスにおけるデータ活用の重要性を認識していることが明らかになった。

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【NEC調査】IP事業の海外展開、カギは「データ活用」に。7割が重要視も人材不足が課題
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日本電気株式会社(NEC)は2025年8月6日、「IP事業者の課題」に関する調査結果を発表。コンテンツ(IP)事業者の7割以上がビジネスにおけるデータ活用の重要性を認識していることが明らかになった。

特に海外市場への展開においてデータに基づいた意思決定が不可欠であるとの認識が広がっており、日本のIP産業が本格的な「データ利活用」のフェーズへ移行しつつある現状が浮き彫りとなった。本調査は、IP事業に従事する504人を対象に実施された。

調査では、IP事業におけるデータ活用の重要度について尋ねたところ、全体の7割以上が「重要である」(「とても重要」「まあまあ重要」の合計)と回答した。特に、IPの法務・権利や資金調達を担当する層では8割以上が重要性を認識しており、そのうち45.8%が「とても重要」と回答。IP制作などに直接関与する層の32.3%を13ポイント以上も上回った。この結果から、事業規模の拡大や収益化を担う立場の担当者ほど、データ活用の必要性をより強く感じている実態がうかがえる。

海外展開の障壁は「人材不足」、AI活用や戦略的データ整備に活路

本調査は、政府が「新たなクールジャパン戦略」で掲げた「2033年までにIP産業の海外売上高20兆円」という目標達成に向け、コンテンツ産業の現状課題を把握するために実施された。同戦略においては「データ駆動型PDCAサイクルを回す」ことが基本の方向性として掲げられている。

今回の調査では、IPビジネスが直面する具体的な課題が明らかになった。「海外IP市場への売上拡大のための課題」という設問では、「グローバル視点のプロデューサーや経営人材の不足」や「制作費高騰に見合うビジネスモデル構築の遅れ」が上位に挙げられた。国内市場の縮小・飽和感が強まる中、多くの事業者が海外に活路を見出そうとしているものの、それを実行するための人材や事業モデルの構築が追いついていない現状が示された形だ。

一方で、「今後注力したい戦略」としては、「AI導入による業務効率化」「メディアミックス展開」「有益なデータ整備」がトップ3を占めた。人材不足やコスト高騰といった課題に対し、テクノロジーとデータを活用して業務を効率化し、戦略的な事業展開を目指す意向が強いことがわかる。

しかし、データ活用の導入に関しては、「上位の社内の収集体制が整っていない」「分析人材がいない」といった組織的な課題を挙げる声が多く、理想と現実のギャップも浮き彫りになった。事業者が求めるデータとしては、「各国のIP需要がわかるデータ」が約4割と最も多く、次いで「人気度データ」となっており、海外市場の特性を正確に把握したいというニーズの高さが示された。

NEC、調査結果を基にIP事業支援を本格化 Parrot Analytics社と連携

NECは、この調査結果を基に、IP事業者の海外展開を後方支援するソリューションの提供を本格化する方針だ。

具体的には、2025年2月から営業連携を開始しているParrot Analytics社のグローバル需要分析プラットフォーム「Demand360」などを活用する。「Demand360」は、SNSや検索エンジン、動画配信サービスのレビューといった多様な情報源から日々データを収集・分析し、コンテンツやタレントに対する世界100以上の市場での需要を定量化するサービスだ。これにより、事業者は勘や経験に頼るのではなく、データに基づいた客観的な指標で、ライセンス戦略の最適化やマーケティング施策の意思決定を行うことが可能になる。


NECは今後、こうしたデータソリューションを通じて、日本のIP事業者がグローバル市場で競争優位性を確立できるよう、業務に寄り添った支援体制を構築していく構えだ。なお、今回の詳細な調査レポートは、NECへの問い合わせにより無償で提供される。

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問合せ先:NEC メディア統括部メディアエンタメサービスグループ data_report@media.jp.nec.com

《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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