第3回新潟国際アニメーション映画祭にて、トークイベント「海外映画祭プログラマーに会おう カナダ・ファンタジア映画祭」が開催された。
本イベントは、カナダのモントリオールで毎年開催されているファンタジア国際映画祭のアニメーション・プログラミング・ディレクターのルパート・ボッテンバーグ氏を招き、同映画祭と日本のアニメーション作品がどう関わってきたのかについて、語られた。
1996年に始まった同映画祭は、数多くの日本アニメを北米市場に紹介してきた。どのような理念で映画祭が運営され、作品を選定しているのかをルパート氏が紹介し、ファンタスティック映画祭やアニメーション映画祭の重要性が浮かび上がる内容となった。
ファンタジアの歩み

世界中に映画祭は数多く存在するが、カンヌ国際映画祭やトロント国際映画祭など、大きな映画祭は実写のアート映画が中心に紹介される。アニメーションがその枠に入ることは稀であり、アニメーション作品はアヌシーや新潟のようなアニメーション専門の映画祭や、ジャンル映画を紹介するファンタスティック映画祭が紹介してきた歴史がある。
ルパート氏は、カナダのケベック州出身で、アメリカ製のアニメーションを見ていた幼少期を経て、9歳の時に日本の忍者などに触れ、日本文化に興味を持つようになった。それ以来、日本のアニメやマンガにもたくさん触れてきたという。
カナダでは少年向けの作品が多かった80年代から90年代初めを経て、『セーラームーン』人気で女性アニメファンが増えていった。ファンタジアが始まったのは、そんな時期だ。第1回は1996年に開催され、カナダではアジア専門の映画祭りとして、日本のアニメや特撮、香港のカンフー映画などを中心に扱う映画祭としてスタートした。
ルパート氏自身は、1999年開催時にポスター制作で参加した。その頃はモントリオール・ミラーという新聞社に勤めていたそうで、ファンタジアにエディターとして関わることになったという。
アニメ好きだったルパート氏は、同映画祭で2004年、2005年にコミックストックというイベントを開催、2012年に今敏賞を設立することにも関わった。現在、アニメーション部門は「アニメーション・プラス」という名称で人形劇なども含めて上映するプログラムになっているそうだ。
日本アニメとファンタジアの関わり
ファンタジアは、これまで数多くの日本アニメと実写映画を紹介してきた。実写映画では三池崇史『極道戦国志 不動』や『リング』などを北米でいち早く上映してきた実績がある。その他、岩井俊二にはアワードの授与をしている。
アニメーション作品に関しては、1996年の第1回に大友克洋総監督の『MEMORIES』を上映したことを皮切りに、『機動警察パトレイバー』や『ルパン三世 カリオストロの城』、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』『パーフェクトブルー』を上映。今敏監督を最初に世界に紹介した映画祭とも言える存在だ。