株式会社TBSホールディングスは2025年6月24日、グループ全体の気候変動対策とグリーン・トランスフォーメーション(GX)を推進する新会社「株式会社TBS Green Transformation」(以下、TBS GX)を設立したと発表した。
再生可能エネルギーのプラットフォーム「みんな電力」を運営する株式会社UPDATERと共同で設立したもので、まずはコンテンツ制作の重要拠点である緑山スタジオのサステナブル化に着手し、映像業界をはじめ、日本社会全体の脱炭素をリードする構えだ。
再エネ開発から脱炭素支援まで一貫して展開 「ストーリー性のある発電所」を建設
TBS GXは、グループ内で消費する電力の脱炭素化を目的とし、主に3つの事業を展開する。
第一の柱は、自ら再生可能エネルギーを創出する「再エネ開発事業」である。特に、耕作放棄地の活用や農業従事者の支援といった社会課題の解決にも貢献する「営農型太陽光発電」を積極的に導入する方針だ。これは、農地で発電を行うと同時に、その下で作物を育てる取り組みで「ソーラーシェアリング」とも呼ばれる。TBSグループはこれを、地域社会への貢献という付加価値を持つ「ストーリー性のある発電所」と位置づけ、新規の再エネ創出を意味する「追加性」を重視した開発を進める。
第二に、PPA(電力販売契約)などを活用して外部から再エネを調達する「再エネ調達事業」 、第三に、サプライチェーン全体での温室効果ガス削減を支援する「脱炭素支援事業」も手掛ける。
創出された電力は、共同設立者であるUPDATER社が持つ独自のブロックチェーン技術により、発電所が特定できるトレーサビリティを確保した形でTBSグループ各社に供給される計画だ。
緑山スタジオから赤坂へ、そしてグループ外へ 日本社会全体の脱炭素化に貢献
事業の第一歩として、数々の人気コンテンツを生み出してきた緑山スタジオへの再エネ供給を開始し、「世界に通用するサステナブル・スタジオ」への転換を目指す。 制作現場の電力を再生可能エネルギーで賄うことは、環境配慮が求められる近年の映像制作において、国内外のパートナーシップやコンテンツ価値の向上に繋がる可能性もある。
その後、TBS放送センターなどがある赤坂エリア、さらにはグループ全体へと供給範囲を拡大していく。TBSホールディングスは、2026年度までにグループ全体の使用電力に占める再エネ比率100%達成を目標に掲げている。
将来的には、これまでの取り組みで得た知見やノウハウを活かし、グループ外の企業に対しても脱炭素支援サービスを提供する計画だ。自社のサプライチェーンに留まらず、映像業界、ひいては日本社会全体のカーボンニュートラル実現に貢献していくことを視野に入れていると見られる。