『ウィッシュ』北米の低調成績から一転、日本で大ヒット!その理由とは

12月15日公開のディズニー最新作『ウィッシュ』が初登場1位で好調スタートを切った。一方で海外での興行収入は芳しくないようだ。今回は、なぜ本作が日本でヒットしたのかを分析していく。

映像コンテンツ 興行収入
『ウィッシュ』北米の低調成績から一転、日本で大ヒット!その理由とは
Photo by AaronP/Bauer-Griffin/GC Images 『ウィッシュ』北米の低調成績から一転、日本で大ヒット!その理由とは

Photo by AaronP/Bauer-Griffin/GC Images

12月15日に公開されたディズニー最新作『ウィッシュ』。

ディズニースタジオ100周年という節目に公開された記念すべき作品だが、週末成績6億1,200万円で初登場首位スタートも記録した。過去のディズニー作品と比較しても『マイ・エレメント』(最終26.9億円)対比で181.5%、『リメンバー・ミー』(最終49.7億円)対比で100.3%となる好調な出足だ。

しかし、本国である北米を始め、英国や中国では低調な成績となっている本作。それだけに日本でのヒットは製作費回収に向け良い兆候だと海外メディアも取り上げている。今回はなぜ日本で大ヒットとなったのか?に注目していきたいが、まずは北米の成績がどうだったかを見ていきたい。

批評家の予想を大幅に下回るスタート

北米では感謝祭シーズンの11月末に公開された本作だが、チケットの予約販売が『マイ・エレメント』を上回っていたことからオープニング成績は5日間で5,000万ドル(約71.1億円)のヒットになるとVarietyは予測していた。しかし、いざ蓋を開けてみると5日間で3,160万ドル(約45億円)という寂しい結果に。『マイ・エレメント』の場合はそこから粘り強くロングランヒットを果たし、最終的に北米1億5,000万ドル超えの大逆転ヒットとなったが、『ウィッシュ』は2週目で前週から60.9%ダウンの大暴落を喫した。現在も上映中ではあるが、最終興収は『マイ・エレメント』の半分以下である7,000万ドルにも満たない見込みとなっている。

その原因には、人々がDisney+と劇場の共存問題から抜け切れていない面は大きいだろう。最近では劇場公開から配信までローンチ期間こそ前よりは長くなっているが、Disney+の普及が大きく広まった以上「時間が経てば家で観られる」という鑑賞スタイルの根本的解決には至っていない。特に、最近のディズニー作品は新規オリジナルのものが多いため、早く観たいという感情を抱かせるにはやや訴求力が弱いのかもしれない。ただ、これはディズニー作品に限ったことではない。

Deadlineによると、オリジナルIPの作品でコロナ禍以降に3,000万ドル以上のヒットを生み出した作品はゼロだと言う。ドリームワークスを例に取るとコロナ禍以降『長ぐつをはいたネコと9つの命』(「シュレック」のスピンオフ続編)、『トロールズ・バンド・トゥギャザー(原題)』など既存IPの続編モノはヒットを収めているが、クラーケンの少女を描いたオリジナル作品『ルビー・ギルマン、ティーンエイジ・クラーケン(原題)』は予算回収もままならない苦しい成績に終わった。『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が大ヒットしたソニー・ピクチャーズのアニメーションに至っては、オリジナル作品はほとんどNetflixの配信となり、劇場公開すらしていないというパターンもある。

つまり、配信サービスという新たなプラットフォームが確立されたコロナ禍以降は、新規オリジナル作品のヒットハードルは大きく上がっていると考えられる。

特に『ウィッシュ』に関しては批評家の評価も低くなってしまったことが、ヒットを遮る追い討ちとなってしまった。Rotten Tomatoesの批評家支持率は49%で、ディズニーアニメーション作品としては『チキン・リトル』以来の50%割れ。観客評価は81%だが、批評家の評価は公開に先立って公開されていたため、観客の足が遠のく原因になってしまったのだろう。

日本での成功要因とは一体?

北米での低調理由を考察したところで、本題に入っていきたい。やはり気になるのは、なぜ日本で『ウィッシュ』は成功したのかということである。


《タロイモ》

関連タグ

タロイモ

タロイモ

中学生時代『スター・ウォーズ』に惹かれ、映画ファンに。Twitterでは興行収入に関するツイートを毎日更新中。

編集部おすすめの記事