アニメ業界、職種別で技術継承の実態を調査へ──NAFCAが第2回業界アンケートを実施開始

NAFCAがアニメ業界の技術継承を調査するため、2025年4月30日から職種別アンケートを実施する。現状を明らかにし、再現可能な育成モデルの確立を目指す。

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第2回「アニメ業界実態調査」NAFCA
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一般社団法人 日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)は、アニメ業界における人材育成と技術継承の現状を明らかにすべく、第2回「アニメ業界実態調査」を2025年4月30日より開始した。今回の調査では、アニメ制作を担う各職種に焦点を当てた職種別アンケートが実施される。

技術継承をめぐる業界の課題──「現場任せ」では限界

アニメ業界では長年にわたり、育成システムが明文化されることなく、現場でのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)に依存した技術継承が行われてきた。前回2023~2024年に実施された第1回調査では、労働時間や収入だけでなく、技術や知識の継承が途絶えつつある現実も浮き彫りとなった。

NAFCAではこの結果を受け、技術継承に関する実態把握こそが業界の持続可能性を左右する最重要課題であるとの認識を強めた。今回は、作画、撮影、演出、プロデュース、声優などのセクションごとに事情の異なる継承環境に対応するため、職種別に詳細なアンケートを行う。

調査目的は「多様な現場知」と「再現可能な育成モデル」の可視化

本調査は、アニメ業界の中核を担う実務者から得られる「経験則」を、定量的なデータとして蓄積・可視化することを目的としている。たとえば、どのような現場で優秀な人材が育ちやすいのか、どの職種がどのような知識伝達の壁に直面しているのかといった情報が明らかになる見込みだ。

極度の人手不足が深刻化する中、再現可能な育成モデルの発見は喫緊の課題といえる。調査結果は、育成フローの改善や研修制度設計の指針として活用されることが期待される。

調査は専門家と連携し信頼性を確保

今回の調査には、東京大学先端科学技術研究センター特別研究員(RPD)で公認心理士の青木瑛佳氏、中央大学理工学部准教授の竹内文乃氏、統計調査専門の株式会社七夕研究所が協力している。これにより、アカデミックな知見と現場の声を結びつけた高信頼な調査設計が実現している。

調査概要

  • 調査期間:2025年4月30日~5月31日(予定)

  • 対象者:NAFCA会員であるアニメ業界従事者

  • 調査方法:Webアンケート(オンライン形式)

  • 調査主体:一般社団法人 日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)

  • 協力者:青木瑛佳(東京大学RPD・公認心理士)、竹内文乃(中央大学理工学部准教授)、株式会社七夕研究所

NAFCAとは

NAFCA(日本アニメフィルム文化連盟)は、アニメプロデューサー、監督、アニメーター、声優などが所属する業界団体。2023年4月に設立され、「アニメに未来があることを信じたい」をスローガンに、制作側とクリエイター側双方の立場から業界課題の解決を目指している。


公式サイト:https://nafca.jp/

《Branc編集部》

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