テレビ広告から動画広告へ:約6割の企業がテレビ広告の予算削減・撤退を検討

企業の約6割がテレビ広告の予算削減や撤退を検討しており、動画広告へのシフトが進んでいるという調査結果が公表された。信頼性の低下や運用課題が浮き彫りになり、最適化が急務となっている。

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【ノバセル調査レポート】「広告出稿に対する意識調査」
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マーティングプラットフォーム 「ノバセル」を運営するノバセル株式会社は、テレビCM放映実績のある企業の社員400名を対象に実施した「広告出稿に対する意識調査」の結果を公表した。調査によれば、企業の広告戦略は「テレビから動画へ」というメディアシフトが顕著となっているが、それだけでは不十分であり、「広告運用力」や「効果測定力」の強化が急務であることが明らかとなった。また、フジテレビ問題に端を発するテレビというメディアの信頼低下が如実に浮き彫りとなる結果となった。


フジテレビ問題が引き金に テレビ広告の信頼性に陰り

調査では、「フジテレビ問題(番組制作上の不祥事)」について89.6%が認識していると回答。さらに74.3%が「同問題がテレビ広告予算見直しのきっかけになった」としており、信頼性への懸念が予算削減・撤退の動きに直結していることが浮き彫りとなった。

テレビ広告の「縮小・撤退」派が6割超 現状維持派は3割未満

今後1年以内にテレビ広告の予算をどう検討するかという問いに対して、「大幅に削減または撤退」26.5%、「一部削減を検討」32.3%と、合計で58.8%が予算の縮小・撤退を検討中であると答えた。対して「現状維持」は28.0%にとどまり、「拡大を検討」はわずか5.3%であった。

データ分析による最適化で「テレビはまだ有用」と6割超が回答

「フジテレビ問題のようなトラブル時でも、科学的なデータ分析によってテレビ広告は有用か?」という問いには、64.8%が「有用だと思う」と肯定的な見解を示した。つまり、問題は「媒体」ではなく「活用方法」にあるとの認識が根強い。

代替先は検索連動型が最優先、YouTubeやTVerなど動画広告も

テレビ広告から予算を再配分する場合の優先メディアとしては、「検索連動広告(Google Ads等)」が最も高く、続いて「動画広告(YouTube)」、「SNS広告(X、Instagram等)」と続いた。TVerやABEMA、Netflixなど、動画系メディアも一定の注目を集めている。

動画広告の活用では“継続・増加”意向が59.1%に上る

現在の動画広告の出稿状況と今後の方針に関する設問(Q5)では、「効果を実感しており、今後も継続・増加予定」との回答が59.1%に達した。一方で、「効果を感じられず予算削減を検討」「出稿停止を検討」など消極的な意見も一定数存在している。

最大の課題は“視聴完了率”と“運用最適化”

動画広告の出稿における課題では、「スキップ機能などによる視聴完了率の低さ」が30.3%と最多。次いで「精度の高いターゲティング設定ができない」「KPI設定・予算配分の最適化が難しい」がいずれも25.5%と続いた。動画広告運用には依然として多数の実務的課題が存在する。

最適化ツールの導入は2割にとどまる

「MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)などの最適化手法・ツールの導入経験」(Q7)に関する設問では、「すでに導入している」と回答した企業は22.8%にとどまり、「検討中」は47.0%と導入の遅れが明らかになった。

テレビ業界は信頼の再構築が不可欠

本調査は、広告主側の視点から見た「テレビ広告」の現状と今後の行方を如実に示している。番組制作上の不祥事に端を発した信頼性の揺らぎは、単なる一局の問題にとどまらず、テレビというメディアそのものの価値が厳しく問われていることを浮き彫りにした。

だが一方で、科学的なデータ分析による予算配分の最適化を前提とすれば、テレビ広告には依然として有用性があると見る企業も6割を超えている。テレビ業界が生き残り、再評価されるためには、信頼の再構築が不可欠となるだろう。

《Branc編集部》

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