400人以上のハリウッドスターらが政府にAI著作権保護を要請

GoogleとOpenAIは、政府に対し著作権法の柔軟な運用を提案

テクノロジー AI
ベン・スティラー、ケイト・ブランシェット
Photo by Emma McIntyre/Getty Images, Photo by Gareth Cattermole/Getty Images ベン・スティラー、ケイト・ブランシェット
400人以上のハリウッドスターや監督といったクリエイティブリーダーらが、米国政府に宛てた公開書簡に署名し、AI(人工知能)のトレーニングに関する著作権法を遵守するように要請した。Broadcast Nowが報じている。

この公開書簡は、「Google とOpenAIは、莫大な収益と十分な資金があるにもかかわらず、米国のクリエイティブ産業と知識産業を自由に活用できるように、特別な政府免除を求めている」と主張している。

また、「米国の繁栄を支えてきた著作権保護を弱めたり、撤廃したりする理由はない」と訴え、この書簡は、エンターテインメント業界が米国で230万人以上の雇用を支え、年間2,290億ドル(現為替で約32兆円)以上の賃金を支払っていることも指摘している。

さらに、「テクノロジー企業やAI企業が、あらゆるデータや情報への無制限のアクセスを求めるとき、彼らは映画や書籍、音楽だけでなく、作家、出版社、写真家、科学者、建築家、エンジニア、デザイナー、医師、ソフトウェア開発者、そしてコンピューターを操作して知的財産を生み出す他のすべての専門家の作品を脅かしているのです」とも記されている。

俳優や脚本家は、AIの台頭が自分たちの創作活動を脅かすのではないかという懸念から、AIの使用に抗議し続けている。AIは、2023年の全米俳優組合と全米脚本家組合によるストライキで主な論点のひとつだった。

Varietyによると、公開書簡に署名したのは、アカデミー賞監督のギレルモ・デル・トロ、歌手のポール・マッカートニー、アカデミー賞女優のケイト・ブランシェット、監督のロン・ハワード、マーベル俳優のマーク・ラファロ、俳優・監督のベン・スティラー、監督のタイカ・ワイティティほか。

GoogleとOpenAIの主張

この書簡は、最近、GoogleとOpenAIが、トランプ政権の科学技術政策局に提出した意見書に対する反論として提出されたもの。両企業の意見書には、米国の著作権法は、AI企業が著作権で保護された作品を権利者の許可や対価なしに、自社のシステムに学習させることを許可している(あるいは許可すべきだ)とある。

OpenAIは、科学技術政策局への提出書類で、米国の著作権法がAI企業の技術開発を妨げないよう留意し、他国が米国の企業に対して不利な法的制限を課さないようにするために、米政府が積極的に介入するべきだと提案している。

一方Googleは、AI開発を円滑に進めるために、著作権法の柔軟な運用を提案しており、そのためには一定の例外規定を設けて、AIシステムが過去の知識やデータを活用できるようにすることが重要だと訴えている。

ここ近年、エンターテインメント業界における生成AIの使用は大きな争点となっているが、官民一体でこの問題にどう取り組むかが、今後の業界の成長と発展に大きく影響しそうだ。

《Hollywood》
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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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