ハリウッドの労働組合、カリフォルニア州の映画・テレビ税控除拡大のためにサクラメントでロビー活動

税控除プログラムの拡大により、州内の雇用を引き続き最優先事項として促すことが目的

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ハリウッドの労働組合、カリフォルニア州の映画・テレビ税控除拡大のためにサクラメントでロビー活動
Photo by Mario Tama/Getty Images ハリウッドの労働組合、カリフォルニア州の映画・テレビ税控除拡大のためにサクラメントでロビー活動

ハリウッドのエンターテインメント労働組合が、カリフォルニア州の映画・テレビ税控除プログラム拡大のために州都サクラメントへ向かい、ロビー活動を開始したことが明らかとなった。

Varietyによると、エンターテインメント労働組合が掲げている「カリフォルニアを前進させよう(Keep California Rolling)」と題したロビー活動は、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が最近提案した、州の税額控除プログラムを年間3億3,000万ドル(現為替で約496億円)から7億5,000万ドル(約1,130億円)に倍増する提案に続くもの。ロビー活動は、カリフォルニア州から映画・テレビ制作の流出を抑制するための重要な動きとなり、税控除プログラムの拡大により、州内の雇用を引き続き最優先事項として促すことを目的としている。


ロビー活動に参加している組合は、アメリカ音楽家連盟、 SAG-AFTRA(映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟)、WGAW(西部全米脚本家組合)、全米監督組合、北米労働者国際連合など。彼らはサクラメントで3月4日~5日にわたり、ニューサム知事が提案した映画・テレビ税控除の増額と、プログラムをさらに強化する2つの法案のためにロビー活動を行う。

7億5,000万ドルの税額控除を目指す

The Hollywood Reporterによると、現在、カリフォルニア州で設定されている税額控除プログラム(上限3億3,000万ドル)は、少なくとも75%がカリフォルニア州で撮影されるプロジェクトに対して20%の基本控除を提供し、独立系映画やロケ地を移転するテレビシリーズは25%の基本控除を受けることが可能だ。もし、知事が目標としている7億5,000万ドルへの引き上げが実現すれば、米国ではジョージア州の税額控除プログラムに次ぐ規模となるという。

知事の提案は、2009年のプログラム開始以来最大の財政支援となるが、労働組合は企業統合とコスト削減が進み、他州がより魅力的な支援策を提供する中で、制作会社を州に呼び戻すには不十分だと警告している。

労働組合がロビー活動のために準備したパンフレットには、「ハリウッドにおける作品の制作量が40%減少し、(健康保険の情報から)1万7,000の雇用が消滅したことが分かる」と記載されている。また組合は、 税額控除プログラムの拡大が州にもたらす潜在的な経済効果も強調しており、2015年から2020年の間に219億ドルが州財政に流入したという。さらに、ロサンゼルス経済開発公社のデータを引用し、税額控除に使われた1ドルあたり、24.40ドルの経済活動が生み出されたとしている。

全米監督協会の西部事務局長でエンターテイメント組合連合会長のレベッカ・ライン氏は、「連邦政府の動向の影響もあり、州が直面する大きな逆風の中で語らずにはいられません。しかし我々は、このプログラムとエンターテインメント業界が州を強化し、連邦政府の動向が不透明な環境において、これらの雇用がこれまで以上に不可欠であると信じています。データはそれを物語っています」と訴えている。

2月26日、カリフォルニア州の議員3人は、ニューサム知事の提案を補強することを目的とした2つの法案を提出し、この問題を是正しようとした。しかし、労働組合や映画スタジオのロビー団体である映画協会などの関係は、具体的な仕組みについてまだ合意に至っていない。交渉の日程は3月上旬に設定されており、どのように話し合いに決着がつくかが注目されている。

《Hollywood》
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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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