1月7日にアメリカ・ロサンゼルスで発生した山火事の影響により、アワードシーズンを迎えようとしていた映画業界ではイベントの延期・中止が相次いでいる。
山火事が起きた直後、ハリウッドではアカデミー賞の投票期間とノミネート発表が延長され、その他のアワードの発表や作品のプレミア上映会は余儀なく延期・中止された。映画スタジオはオフィスを閉鎖し、スタッフたちの安全を確保できればリモートワークを行うなどの措置を取っていた。
そんな中、やはりハリウッドでの撮影許可申請が激減しているとロサンゼルス地域でロケの許可を扱うFilmLAは伝えている。そもそもロサンゼルスでは、ストライキの影響もあり2024年の全体的な年間制作数が2023年を5.6%下回り、観測された中でも2番目に制作数の少ない年となっていたのだが、知事が税額控除プログラムの増額を検討し、今年はロサンゼルスの映画産業にとって重要な年になると予想されていた。この自然災害はその期待が高まる中での出来事だった。
Varietyが報じたところによると、FilmLAが保有する1週間のデータでは「撮影日数ベースでは、昨年の同時期の活動の約50%だった。同じ期間の許可申請量は約80%減少しているため、撮影再開には慎重な姿勢を取っている」とのことだ。一方で、撮影は管理された環境にあるスタジオの敷地内には戻りつつある。ロサンゼルスではまだ避難区域として設定されている地区もあるため、ロケでの撮影には時間がかかるようだ。
また、一瞬で焼け野原になってしまったロサンゼルスの現実に深い悲しみを感じる人々は、映画館に逃げ込み、映画を観ることで心を落ち着かせているという。The Hollywood Reporterの記事によると、高級ショッピングモール・ウェストフィールド内にあるAMCのセンチュリーシティ店は、「避難命令や警告が出ている近隣地域に近いにもかかわらず、1月10日から12日の週末、国内で興行収入トップの座に就くほどの人気ぶりだった」とのことだ。映画館がコロナのパンデミック期に導入した高度な空気ろ過システムを備えていることも大きな利点となっている。