苦戦するテレビ局の中でも日本テレビホールディングスの躍進が目立つ。
2025年3月期上半期(2024年4月1日~2024年9月30日)は1割の増収、3割近い営業増益で折り返した。好調の背景の一つにあるのが、前第3四半期に連結子会社化したスタジオジブリの収益貢献。上半期における日本テレビのコンテンツ販売収入は前期と比べて100億円上積みされている。
それ以外にも製作で参加した『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』が大ヒットするなど、追い風が吹いている。
ゴールデン・グローブ賞とアカデミー賞受賞でジブリに世界的な注目集まる
日本テレビホールディングスの2025年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期間比10.6%増の2,168億円、営業利益は同25.9%増の211億円だった。今期は通期売上高を前期比4.4%増の4,420億円、営業利益は同0.3%増の420億円と予想している。
通期計画に対する上半期時点の進捗率は売上高が49.1%、営業利益が50.3%だ。日本テレビは前期の上半期における計画への進捗率が、売上高は45.0%、営業利益は35.0%だった。結果的に通期実績は売上高が計画比2.9%、営業利益は同12.8%それぞれ下回って着地をしている。今期は堅調に進捗していると言えそうだ。
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※決算短信より筆者作成
競合他社の状況を見ると、業績堅調なテレビ朝日ホールディングスの今期上半期の売上高が前年同期間比4.8%増、TBSホールディングスが同3.7%増、フジ・メディア・ホールディングスが同0.2%増となっており、日本テレビホールディングスの強さが目立つ。
今期の増収を支えているのがアニメと映画だ。日本テレビは2023年10月6日にスタジオジブリを連結子会社化した。今期はその業績がフルで寄与する。今期上半期の動画配信などによるコンテンツ販売収入は前年同期間比26.6%増の479億円。100億円が上積みされている。
Netflixは映画の販売などを行うGoodfellasとGKIDSとのパートナーシップの延長を2024年3月21日に発表。『千と千尋の神隠し』や『もののけ姫』、『となりのトトロ』などの22作品を日本と米国を除く各国で配信していた。9月16日からは『火垂るの墓』も追加配信されている。
スタジオジブリの最新作『君たちはどう生きるか』は、2024年1月にゴールデン・グローブ賞のアニメーション作品賞を受賞。日本作品で初の受賞となる快挙を成し遂げた。3月のアカデミー賞でも長編アニメ映画賞を受賞している。世界的にスタジオジブリへの注目が集まったタイミングだった。
『君たちはどう生きるか』の国内DVDは7月に発売され、初週で1.3万枚を売り上げている。オリコンの「週間DVDランキング」と「週間Blu-ray Disc(以下、BD)ランキング」ともに初登場1位を獲得していた。
本作は日本と北米を除いた国々でNetflixにて配信中だ。来期以降の収益貢献にも期待ができるだろう。