ここ近年、ハリウッドではAI(人工知能)がクリエイターや俳優の仕事を奪ってしまうのではないかとの懸念が高まり、2023年に全米脚本家組合(WGA)と 映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)が行ったストライキでは、AIが大きな論争の的となっていた。
AIの使用についてはストライキ終了後も数々の問題点が残されているが、NetflixでCEO(最高経営責任者)を務めるテッド・サランドス氏は、それほどAIの台頭について心配していないという。
「AIが人間のクリエイターに取って代わることはない」とNetflixのCEOが語る
The New York Timesのインタビューで、「最終的にAIが、人間のクリエイターに取って代わると思いますか?」と質問された同氏は、「それ以上に私は人間を信頼しています。本当にそう思っています」と回答。「AIプログラムが、才能ある脚本家よりも優れた脚本を書いたり、素晴らしいパフォーマンスに取って代わったり、その違いの判別がつかなくなるとは思いません。AI が人間の仕事を奪うことはありませんが、AIを上手く使う人が、あなたの仕事を奪うことはあるかもしれません」と続け、AIと上手く付き合っていくことが鍵だと示唆した。
続けてCEOは、AIを「今日(こんにち)のクリエイティブな分野で起こっている自然な進歩」と称し、「(VFXやLEDの)ボリューム・ステージはロケ撮影に取って代わってはいません。脚本家や監督、編集者は、より効率的かつ効果的に仕事をするツールとして、AIを使うようになるでしょう。そして、不可能なことをスクリーンで実現することが理想です」と付け加えている。才能あるクリエイターがAIを巧みに利用すれば、今まで以上にクオリティの高い作品を生み出すことが可能だとも主張した。
さらにCEOは、手描きのアニメーションからコンピューター生成のアニメーションへ移り変わった大きな飛躍を例に挙げ、「現在、アニメ制作会社がどれだけ多くの人を雇用しているか考えてみてほしい」と指摘。その他にも、映画会社がビデオレンタル会社と戦った時代にも言及し、「エンターテイメントにおける技術の進歩は、すべて戦いの末、最終的にビジネスを成長させることになりました。今回も違いはないと思います」と持論を展開した。