1989年公開の映画『ロードハウス/孤独の街』のリメイク版『Road House(原題)』に関してオリジナル映画脚本家がAmazonとMGMスタジオを著作権侵害で提訴した。両社は原告の主張を否定している。
ヒル氏の告発は、主に脚本家が起こした一連の訴訟の最新のものとなる。米国著作権法には、通常35年を経た後に作者が作品の権利を取り戻すことができる規定がある。この法律は、スタジオにとって1980年代に公開された人気映画のフランチャイズ権を失う可能性があり、頭痛の種になっているという。1987年公開の『プレデター』や1984年公開の『ターミネーター』をはじめとする映画も、著作権をめぐって原作者とスタジオの間で訴訟が起こったが、その大半は和解に至っている。
訴状によると、ヒル氏は2021年11月10日に自身が執筆した脚本の著作権回復を申し立て、2023年11月11日に権利を取り戻したとのこと。しかし、その間もMGMとAmazonスタジオはリメイク版『Road House』の製作を続け、映画が完成したのはヒル氏の元へ著作権が戻った後となる2024年1月下旬だったという。よって、「両社には、原作者に対してライセンスの義務が発生する」というのが、ヒル氏の言い分だ。しかし、彼の訴えに対してスタジオ側は、この脚本は職務著作品(原作者の雇用主や業務委託者が著作権を有する作品)だと反論し、ヒル氏に対するライセンスの義務はないとしている。
また訴状でヒル氏は、2023年に起こった映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)のストライキで中断となっていたリメイク版を期限内に完成させるために、撮影後に音声を再録音するADR作業でスタジオがAI(人工知能)を使用したとも主張。俳優組合のストライキが終了していなかった当時、AIの使用はSAG-AFTRAの規約に違反する。
Screen Dailyによると、Amazonスタジオ・MGMの広報担当者は、「『Road House』に対してR・ランス・ヒルが起こした訴訟には全く根拠がなく、多くの主張は明らかに虚偽です。この映画では、俳優の声の代わりにAIは使用されていません」と反論した。両社の関係者は、俳優の声を再現するためにAIは使用されておらず、もし使われていたとしたら、それはスタジオではなく、制作者が映画の初期カットを編集する段階で用いたはずだと発言。関係者によると、スタジオは制作者に対し、劇中でAIを使用しないこと、またAIが使用されたシーンはカットするよう指示していたそうだ。
『Road House』は、テキサス州オースティンで開催されるイベント「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」にて、3月8日にプレミア公開の予定。Amazonはリメイク版の劇場公開を避け、プライム・ビデオでダイレクト配信する計画だ。