コギトワークス×U-NEXT、邦画に特化した新映画レーベル「New Counter Films」を設立

映画『almost people』や『餓鬼が笑う』など良質な邦画を手がけるコギトワークスが、動画配信サービス「U-NEXT」の協力を受け、新邦画レーベル「New Counter Films」を設立することを発表。作品性・作家性を重視した映画を製作し、国内外のミニシアターで公開&U-NEXTでTVOD配信を行っていく。

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映画『almost people』や『餓鬼が笑う』など良質な邦画を手がけるコギトワークスが、動画配信サービス「U-NEXT」の協力を受け、新邦画レーベル「New Counter Films」を設立することを発表。3月4日に記者会見が開かれた。

コギトワークスがU-NEXTの協力を受け設立した「New Counter Films」は、「誰もが観たい映画でなく、誰かが観たい映画をつくる」をミッションに、エンターテイメント性を追及しながら、作品性・作家性を重視した映画を製作していく。コギトワークス独自の配給網を活用し、国内のミニシアターと、海外17都市のアートハウス劇場へ配給を行っていくとのことだ。

さらに劇場公開だけでなく、U-NEXTにて都度課金(TVOD)制の同時配信を行う。劇場への集客を阻害することなく、物理的な理由で映画館に足を運べない観客にも作品を提供していく。加えて収益の配分構造を抜本的に見直すことで総事業費回収後の全体収益の50%を作り手に還元する仕組みを構築しており、作家性と収益性を両立した邦画業界における新しいビジネスモデルに挑戦していく。

また、「New Counter Films」第一弾作品として、二ノ宮隆太郎監督による映画『若武者』を5月25日(土)に世界同時公開することも発表された。本作はユーロスペースほか国内外のミニシアターで世界同時公開されるほか、U-NEXTでの国内配信を予定している。

2023 “若武者” New Counter Films LLC. ALL RIGHTS RESERVED

記者会見の第一部では、New Counter Films代表の関友彦氏と鈴木徳至氏、『若武者』監督の二ノ宮隆太郎氏が登壇し、『若武者』について紹介した。

前作『逃げきれた夢』が、北野武監督『首』、是枝裕和監督『怪物』とともに、日本の長編映画として2023年第76回カンヌ国際映画祭に正式出品され、会場では満席の観客が喝采を送られるなど、世界中で新作が待ち望まれる二ノ宮隆太郎監督。そんな二ノ宮氏が監督・脚本を手掛けた最新映画『若武者』は義父に対する深い憎しみを秘める渉、他人の負の感情に愉悦を覚える英治、介護職員として真面目に働きながらも周囲を鈍い視線で見つめている光則の三者三様の青年たちが、人生への疑問を問い続けながら未来に抵抗する物語

二ノ宮監督は「監督・脚本どちらも自分で手がけ、考え抜いて作った作品。ほかにはない作品なので、ぜひ観てほしい。自分の闇をさらけ出している映画になっていると思います」と作品への思いを語った。

第二部では、New Counter Films代表の関友彦氏と鈴木徳至氏が新レーベルの詳細を明かした。

鈴木氏は「『誰もが観たい映画ではなく誰かが観たい映画を作ること』に特化し、自分たちが観たいものを作ることにこだわりを持っている」とレーベルでやっていきたいことを発表。

鈴木徳至氏。

関氏は「作り手が映画を直接世界中の観客に届ける『ファームトゥテーブル(Farm to Table)』をやっていきたい。映画の“産地直送”をしていくことで、世界中の観客の反応を自分たちが直接受けることができて、今後の作品製作にも繋げることができると思う。邦画ビジネスにおいて、製作委員会を組成し、配給会社が届けるというビジネススキームだけでなく、新しいことをやってみてもいいと思った」とレーベル立ち上げのきっかけを語った。

また、劇場公開と同時にU-NEXTで配信をする背景について、「地方に住んでいる人やなかなか劇場に行けない人など、映画館に行けない事情がある人も多い。多くの人が同時期に映画を楽しみ、その盛り上がりを共有できるようにしたかった。劇場と配信が喰い合うという意見もあるが、ひとつの作品で楽しみ方が二倍になるのであれば(配信と)一緒にやっていきたいと思った」と関氏がコメントした。

関友彦氏。

クリエイターに成功報酬を50%を還元する収益分配の取り組みについては「現状は予算が2,500万円程度の小規模な映画だと思っている。その代わりに、クリエイターにリクープ後の成功報酬を還元していくために、成功報酬の契約を結んでいる。監督やキャストも半分出資者としてより深く作品に関わってもらう形になるが、(そこに対する成功報酬として)バランスを取っていきたい」と鈴木氏は言及した。

今回の新レーベル設立についてはU-NEXTと2、3年ほど前から構想していたという。第一弾の『若武者』はNew Counter FilmsとU-NEXTが50%ずつ出資して製作した形となるが、今後は映画を投資対象としてもらえるような仕組みづくりもしていきながらステップアップしていきたいとのこと。

邦画ビジネスの新しい形を模索するNew Counter Filmsの取り組みに注目していきたい。

《marinda》

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Branc編集長 marinda

Brancの編集長です。好きな動物はパンダです🐼

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