ディズニー、米国とカナダでブルーレイ・DVD事業をソニーに委託

物理メディアから撤退するディズニーは、ソニー・エンターテイメントとの契約を通じてライセンスモデルに切り替えることを決定

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Photo by Drew Angerer/Getty Images Disney

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ストリーミングサービスの台頭により、DVD・ブルーレイの需要が減少の一途を辿るなかディズニーが物理メディアから撤退し、ソニー・エンターテイメントとの契約を通じてライセンスモデルに切り替えることを決定した。

Varietyによると、この契約によりソニーは、米国とカナダで小売店や販売代理店を通じて、ディズニーのDVD・ブルーレイなどの物理メディアを流通・販売することになる。一方でディズニーはプレミアム・ビデオ・オン・デマンドなど、自社のデジタルメディアは引き続き管理していく予定だ。

長らく停滞しているDVD・ブルーレイの売り上げが回復する兆しは見られず、米国における物理メディアの収益は2022年の10億5,000万ドルと比較して、2023年上半期は28%減の7億5,400万ドルまで落ち込んだ。2024年には、さらに収益が減少するものと予想されている。

そういった近年の動向を受け、米家電量販店Best Buyも2024年に入ってからDVD・ブルーレイの販売を中止し、2023年9月にはNetflixのDVD郵送サービスの終了が報じられた。さらにディズニーは物理メディアをソニーに委託するだけでなく、DVD・ブルーレイを割引料金でレンタルできるサービス「Disney Movie Club」の廃止も発表。23年間にわたって続いた同サービスの最終レンタル日は、2024年5月20日となっている。

なお、物理メディアを外部に委託するビジネスモデルには前例がある。The Hollywood Reporterによると、2021年にはワーナー・ブラザースとユニバーサルが、DVD・ブルーレイ事業の制作・販売・マーケティング・流通を担当するStudio Distribution Services(以下、SDS)を設立しており、SDSは米PBS局やNeonといったパートナーのDVD販売・配給も請け負っている。

ストリーミングサービスの出現により、物理メディアが苦境を強いられているとはいえ、直近、Disney+をはじめとする配信サービスのライブラリから映画やドラマシリーズが突然削除され、ユーザーから非難の声が上がっている点を留意しておきたい。そういったケースを避けるためにも、お気に入りの作品を何度でも観直せるよう、物理メディアを購入しておくほうが得策かもしれない。

第96回アカデミー賞作品賞にノミネートされている『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン監督も、本作がストリーミングサービスから削除された場合に備えてブルーレイの購入を促しており、自身が手がけた映画のフィジカルリリースに細心の注意を払っていると述べていた。

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。