【年頭所感】映像業界人に訊く、2023年の振り返りと2024年のこれから

新年、明けましておめでとうございます🎍ガイエ、サイエンスSARU、東映、ビデオマーケット、フラッグ、樂舎、BABEL LABEL、THE SEVEN、TVer、WOWOW(敬称略、五十音順)の10社様に年頭所感のコメントをいただきました。

ビジネス 企業動向
【年頭所感】映像業界人に訊く、2023年の振り返りと2024年のこれから
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  • 【年頭所感】映像業界人に訊く、2023年の振り返りと2024年のこれから
  • ガイエ/近藤雅一氏
  • サイエンスSARU/ロゴ
  • サイエンスSARU/アベル・ゴンゴラ氏
  • ©︎Garden of Remembrance -二つの部屋と花の庭-製作委員会
  • ©️2023 Universal Content Productions LLC
  • ©︎2024「きみの色」製作委員会
  • ©️龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会

新年、明けましておめでとうございます🎍

2023年9月に1周年を迎え、2年目に突入したBranc(ブラン)。昨年は、Brancのオフラインイベント「Dialogue for Branc」の開催や新連載企画、また国内外の業界人へのインタビューなど、新しいことにも挑戦しBrancとして成長を感じられた1年となりました。

2023年は「ハリウッドのダブルストライキ」「国際共同製作の増加」「AIの台頭」「ゲーム映画の躍進」……など映像業界では興味深いトピックが多かった一年でした。映像業界全体の慣習や変わっていく瞬間に立ち合っている、という実感を強く感じ、取材やニュース発信を通して自分自身も勉強になることが多かったです。

Brancでは「映像業界を“共に”大きくしていく」というコンセプトを、より体現できるよう、2024年はこれまでに出会ったご縁や情報を“結”ぶ一年にできればと思っております。引き続き、読者の皆様にBrancを訪れていただける機会を多く作れるよう精進いたします!(編集長・marinda)


さて、2024年初掲載となる本記事では、映像業界関連企業10社の代表者様よりいただいた2023年の振り返りと2024年の年頭所感をご紹介。併せて、2023年を象徴する「漢字」「ベストムービー」もお伺いしました。

年末のお忙しいところにご回答いただきました各企業の代表者様、そしてご調整をいただいたご担当者様、誠にありがとうございました!

この場を借りて御礼申し上げます。

今回ご回答いただいた企業様(敬称略、五十音順)

  • ガイエ

  • サイエンスSARU

  • 東映

  • ビデオマーケット

  • フラッグ

  • 樂舎

  • BABEL LABEL

  • THE SEVEN

  • TVer

  • WOWOW


2023年は「変」の年/株式会社ガイエ

代表取締役社長 近藤雅一氏

ガイエ/近藤雅一氏

◎2023年の漢字に「変」を選んだ理由は?2023年を振り返り、御社にとってどんな一年でしたか。


2023年を振り返ると大きな「変化」が起きた年だったと思っています。
当社が8月に東宝グループの一員になったことですね。この「変化」は、ワクワクする「進化」への序章だと捉えています。


◎2024年は映像業界にとってどんな一年になると思いますか。


新作映画を多く手掛ける当社にとって、「劇場で観る映画」というメッセージがより重要な意味を持つ一年となると思います。映画館での体験をどのように伝えていくか?という視点でのマーケティングにも力を入れていきたいと考えています。さらに当社は、「デジタル技術で、未来の感動に貢献する」という新たなミッションを掲げました。技術の進化を単なる機能向上ではなく、人々の心を動かし、記憶に残る体験を提供する機会を創出することに注力していく一年にしたいと思っています。


◎2024年に、特に心を動かされた映像コンテンツがあれば教えてください。


『ゴジラ-1.0』です。一映画ファンとして久しぶりに「迫力」と「感動」を体験した作品でした。


2023年は「技」の年/株式会社サイエンスSARU

クリエイティブチーム ディレクター アベル・ゴンゴラ氏

サイエンスSARU/アベル・ゴンゴラ氏

◎2023年の漢字に「技」を選んだ理由は?2023年を振り返り、御社にとってどんな一年でしたか。


多くの​​アーティストにとって​​盟友​​にも​​難敵​​にもなり得る生成AIの爆発的普及がみられた​​昨年​​は、改めて「手作り」や「スケッチ」という概念に興味を持ちました。​

​​2023年で、​​弊社​​は​​創立​​10周年を迎え​​ることができました。創立当初より、​​デジタル​​技法​​や最先端技術を積極的に使おうというスタンスではありましたが、同時にアナログ絵の美しさ、アニメーションで使われる職人技にもスポットライトを当てようともしました。​

​​昨年​​は、アニメ業界外の​​クリエイター​​、ハリウッドスター、日本アニメ業界のレジェンド​​たち​​と協力し、​​Netflixシリーズ「スコット・ピルグリム テイクス・オフ」​​を公開​​することができました​​。​

©️2023 Universal Content Productions LLC

◎2024年は映像業界にとってどんな一年になると思いますか。


これも「手作り」に関係しますが、2024年には生成AI技術は​​さらに​​著しく進歩していくと思います。最も難しい仕事をぜひ自動化できればと思いますが、視覚芸術は個性が薄くなって全てが同質的になりつつある世界で、​​どのように​​各アーティストの個性を高めるかは大きな課題になるかもしれません。​

​​弊社作品で申しますと、今年は、山田尚子監督の最新作 ​​映画​​『​​きみの色​​』(夏公開)、『Garden of Remembrance』の公開も控えています。また情報解禁時より多くの反響をいただいているTVアニメ「​​ダンダダン​​」も10月より放送開始となります。​

​​弊社の作品歴が一層豊かになり、新たな展開を迎える年になりそうです。弊社は常に向上心を持ち、より意欲的な作品づくりを目指していきます。​

©︎2024「きみの色」製作委員会
©︎Garden of Remembrance -二つの部屋と花の庭-製作委員会
©️龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会

◎2023年に、特に心を動かされた映像コンテンツがあれば教えてください。


ルーカス・ドン監督の映画『CLOSE クロース』は凄い体験でした。カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した作品です。友情、幼少期、恋愛などのテーマを扱う、丁寧に描かれた悲劇です。俳優の演技、音楽、演出などは軒並み素晴らしかったです。​

​​Skrillex & Nai Barghoutiの楽曲「XENA」のMVについても、ぜひ言及させてください。強烈な映像と、エレクトロニック・ミュージック、伝統的なパレスチナ民謡を融合した音楽性がありますから。​

Skrillex with Nai Barghouti - XENA (Official Music Video)

2023年はの年/東映株式会社

映画宣伝部部長 孤嶋健二郎氏

◎2023年の漢字に「」を選んだ理由は?2023年を振り返り、御社にとってどんな一年でしたか。


劇場にお客様が戻ってきた1年でした。東映でも、2022年の良い流れが繋がる中で『レジェンド&バタフライ』『シン・仮面ライダー』と話題作を提供できた前半、続いて夏の定番「仮面ライダー&戦隊」、秋の定番「プリキュア」、冬の『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』、映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と、今までの繋がりを継承しつつ進化させていけた一年だったと思います。実写においても粒揃いの作品を配給し、来年以降の魅力的な作品づくりに繋げられる年となりました。


◎2024年は映像業界にとってどんな一年になると思いますか。

©2024「身代わり忠臣蔵」製作委員会
©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

映画業界としては、劇場が活況の今だからこそ、「スクリーンで映画を観る興奮」を更に強く届けなくてはいけない、さらなる挑戦の1年となります。

東映も、今までの繋がりから生まれた時代劇の映画『身代わり忠臣蔵』と大復活となる映画『帰ってきた あぶない刑事』があり、さらに未発表の魅力作も待機しているので、力強いエンターテインメントを届けたいと思います。


◎2023年に、特に心を動かされた映像コンテンツがあれば教えてください。


映画『キリエのうた』
特にアイナ・ジ・エンドさんの歌唱シーンで、表現のストレートなパワーを感じました。


2023年は「進」の年/株式会社ビデオマーケット

常務取締役 新井純氏

◎2023年の漢字に「進」を選んだ理由は?2023年を振り返り、御社にとってどんな一年でしたか。


とにかく新たな道へ、色々な物事を前へ、上へ「進める」年だったと思います。

わたしたちは2005年の設立以来より動画配信事業に特化し、VODサービス「ビデオマーケット」を始めとした配信サービス事業を軸としてきましたが、近年はこの事業ノウハウを活かし、映像作品を作る制作者、映像を届ける事業者、映像を見るお客様すべてにとってさらに良しとなる世界を目指し新たな事業を進めています。「作る」「届ける」「見る」皆さまのハッピーのため、この映像流通サイクルをもっとよいサイクルにしていきたいと考えています。そのための取組を前へ前へと進めています。常に考えながら走ったり、時には歩いたり、後ろ向きになることなく前へ進めることをずっとやってきた一年間でした。結実した物事も増えてきたので、この勢いを止めず、2024年も更に進んで行きたいと思います。


◎2024年は映像業界にとってどんな一年になると思いますか。


コロナ禍を経ての大きな変革がありましたが、ここ数年間の映像業界は変革の連続になっていると思いますし、2024年も同じように変革の年になるだろうと思います。この変革の連続をポジティブに捉え、2024年も引き続き「作る」「届ける」「見る」皆さまに喜んでもらえるような取組を進めて行きたいと思います。


◎2023年に、特に心を動かされた映像コンテンツがあれば教えてください。


今年も沢山映画を観ましたが、その中でも『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』『ジョン・ウィック:コンセクエンス』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』『ザ・クリエイター/創造者』『ナポレオン』は特に鑑賞中~鑑賞後の興奮がおさまりませんでした。

TVシリーズであれば「サンクチュアリ- 聖域-」が強烈な印象を残しています。題材の面白さとクオリティの高さ、映像からほとばしる熱意に引き込まれました。最も続編を待ち望んでいるシリーズの一つです。


2023年は「生」の年/株式会社フラッグ

代表取締役 久保浩章氏

フラッグ/久保浩章氏

◎2023年の漢字に「生」を選んだ理由は?2023年を振り返り、御社にとってどんな一年でしたか。


運用型のタテ型ショート動画制作サービス「TATEPA」、インフルエンサーサービス「FLAFLU」、X(旧Twitter)キャンペーンサービス「キャントピ」となど、新たなサービスを多く生み出した年でした。

また弊社に限らず生成AIの本格的導入が映像業界に大きな影響を与えることが、はっきりと認識できた年となりました。


◎2024年は映像業界にとってどんな一年になると思いますか。


実写・アニメ問わず、VODサービスによって海外との距離が以前よりも縮まり、日本発映像コンテンツの海外展開が一層盛り上がると思います。弊社でも海外との映画やドラマの共同製作にも取り組むなど、コロナ禍後に加速する海外展開をリードすべく、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

また映画やアニメなど映像コンテンツの、新たなデジタルマーケティング手法の確立にも取り組んでいきたいと考えています。データの有効活用を徹底して、再現性のあるマーケティングの勝ち筋を見つけることで、映像コンテンツ市場の拡大に貢献できる1年にしたいです。


◎2023年に、特に心を動かされた映像コンテンツがあれば教えてください。


映画『BLUE GIANT』
国際線の機内で初見し、これはよい音の劇場で観なければと109シネマズプレミアム新宿で再鑑賞しましたが、お高めの鑑賞料を払う価値を十分に実感できました。


2023年は「」の年/有限会社樂舎

取締役社長 佐野美加氏

樂舎/佐野美加氏

◎2023年の漢字に「耐」を選んだ理由は?2023年を振り返り、御社にとってどんな一年でしたか。


コロナ以降「耐え忍ぶ」年が続いております。加えて2023はハリウッドのストで打撃を受けました。


◎2024年は映像業界にとってどんな一年になると思いますか。


ミニシアター系公開作品がたくさんヒットしてほしいです。コロナ禍で唯一よかったことは、宣伝作品の減少により単独配給に挑んだことです。自分たちの目で映画を選定し、配給までこぎつける、はじめから終わりまで樂舎一社でやり遂げることができました。
2024も1本、公開を見据えて動いております。

配給会社やTV局から依頼されるお仕事では、宣伝の楽しさや厳しさを多くの人と共有することで現場の成長を願っています。
素晴らしい作品と出会い、社員1人1人が充実した年を送れるよう頑張って参ります。


◎2023年に、特に心を動かされた映像コンテンツがあれば教えてください。


弊社宣伝作品では『バビロン』、それ以外では『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
どちらも映画のエンタメ性を存分に味わえ、また生き方を考えさせてくれる映画でした。

2023年は「繋」の年/BABEL LABEL

代表取締役社長 山田久人

BABEL LABEL/山田久人氏

◎2023年の漢字に「」を選んだ理由は?2023年を振り返り、御社にとってどんな一年でしたか。


2023年はBABEL LABELとしてたくさんの「繋がり」を感じる1年でした。
2022年1月にサイバーエージェントグループに参画を発表し、その1年後Netflixとの5年のパートナーシップを締結して発表したのが2023年でした。

もともと大学の映像サークルの仲間から始まった我々BABEL LABELですが、思い返すと「いい映画を作りたい」という気持ちでここまでこれたと思っています。これもひとえにたくさんの方々の繋がりを得られたからだなと、何度も振り返るタイミングがありました。

そんな我々も2024年で15年目になりますが、たくさんの繋がりを大いに活かし日本だけでなく海外に向けて大ヒットが出せる作品を創作していきたいと思っています。

©2024「青春 18×2」film partners

◎2024年は映像業界にとってどんな一年になると思いますか。


2024年は映像業界にとって、また新しい天才たちが活躍する1年になるんじゃないかと思っています。
2023年もたくさんのアジアの国々の活躍も目まぐるしかったですし、日本でも若手の活躍の印象が強かったです。2024年はこういう方々とご一緒できる年になるのではと期待しています。


◎2023年に、特に心を動かされた映像コンテンツがあれば教えてください。


自社作品で恐縮ではありますが、『最後まで行く』が本当に面白かったです。

圧倒的な緊張感とスピード感、そして思わずクスッと笑ってしまうコミカルさをスパイスに展開されていきます。
Netflixでも配信後大きな反響をいただき、年末年始におすすめしたい映画です。

©2023映画「最後まで行く」製作委員会

2023年は「緒」の年/THE SEVEN

代表取締役社長 菅井龍夫氏

THE SEVEN/菅井龍夫氏

◎2023年の漢字に「緒」を選んだ理由は?2023年を振り返り、御社にとってどんな一年でしたか。


「緒」 緒に就く 着手した物事の見通しがついて軌道に乗り出す という意味。
THE SEVENが本格稼働を開始し1年、作品も複数本動き出し、国内外での認知も上がり多くのプロジェクトが動き出した年となりました。12月には緑山にスタジオも完成し、準備したもの全てが順調にスタートし軌道に乗り始めた年でした。


◎2024年は映像業界にとってどんな一年になると思いますか。


2024年はこれまでにも増して、メディアのサービス・機能・デザインが類似化し、国境を越えてユーザーに届けられるようになります。
支持されるサービスとして生き残っていくには、機能やデザインではない差別化が必要となり、それはコンテンツであり映像コンテンツの重要性が更に増すことであると考えます。
ユーザー・視聴者の関心と支持を引き付け、維持していく為にも、良質で世界で支持される映像コンテンツがより重要となっていくと思います。

抱負:
人の目を引くことだけではなく、人の心に残ることを大切にし、作品やサービスを世界中に届ける年にしていきたいです。


◎2023年に、特に心を動かされた映像コンテンツがあれば教えてください。


Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」
「幽☆遊☆白書」は、THE SEVENが制作協力し、森井輝プロデューサー、赤羽智史VFXプロデューサーや石田記理ポストプロダクションスーパーバイザーが制作に参加しました。


2023年は「謝」の年/株式会社TVer

常務取締役COO 蜷川新治郎氏

TVer/蜷川新治郎氏

◎2023年の漢字に「謝」を選んだ理由は?2023年を振り返り、御社にとってどんな一年でしたか。


ユーザーにかわいがってもらい、広告主/パートナーの皆様に成長させていただいたことに「感“謝”」。至らない点がまだまだあり、期待に応えられていない、裏切ってしまったことへの「“謝”罪」


◎2024年は映像業界にとってどんな一年になると思いますか。


かつて、制作者が限定されていた映像コンテンツが、テクノロジーの進歩ととも、爆発的にUGCとして、流通するようになりました。
今後、生成AIによる大量生産など、さらに流通量は飛躍的に増加し、均質なものが大量に流通する時代になります。
そのなかで、真の「プロフェッショナル」なコンテンツがあらためて、「差別化」され、評価されることになるかと。
TVerは、「プロフェッショナル」なコンテンツを最も多く流通させ、最も多くのユーザーに届けられるサービスとなりたいと強く思っています。


◎2023年に、特に心を動かされた映像コンテンツがあれば教えてください。


映像コンテンツとしての、「スポーツ」の強さを、あらためて感じる一年でした。
WBCをはじめ、多くの大規模イベントに、感動をいただきましたが、個人的には、5月のラグビーリーグワン決勝戦、終了ホイッスル直後、勝利した立川理道キャプテン(スピアーズ)が、歓喜して駆け寄る仲間をかき分けて、真っ先に、精悍な表情でレフリーに感“謝”を伝えに行った映像に心打たれ、自分を戒める意味でも、繰り返し、見るようにしています。


2023年は「続」の年/株式会社WOWOW

事業局 エンターテインメント事業部 チーフプロデューサー 大瀧亮氏

WOWOW/大瀧亮氏

◎2023年の漢字に「続」を選んだ理由は?2023年を振り返り、御社にとってどんな一年でしたか。


私の担当領域は映画事業なのですが、製作幹事映画と配給映画で数年に渡り継続して挑んできた案件がようやく実を結んできたので「続」を選びました。そして今年がゴールではなく更に続けていくという意味も込めさせていただきます。

弊社史上最大の製作費を投じて作りました映画『ゴールデンカムイ』がいよいよ1月19日に全国公開となります。映像化権の獲得から考えますと延べ4年近くかけて紡いできた作品となります。主演の山﨑賢人さんをはじめ、日本を代表するキャスト・スタッフの結集により素晴らしい大エンターテインメント作になったと思います。明治時代後期の北海道を舞台に、北の大地に隠された莫大な金塊を巡って個性豊かなキャラクター達が争奪戦に挑むサバイバルアクションでして、その他ミステリー、コメディ、グルメ、史実、そしてアイヌ文化など様々な要素が凝縮され、どこを切り取っても面白い!と思える作品になっています。原作リスペクトを第一に掲げ、本気度100%で挑んだ実写化ですので是非大スクリーンで観ていただきたいと思います。

『ゴールデンカムイ』ⓒ野田サトル/集英社 ⓒ 2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

もう一つ、配給事業も2019年から着手し拡大してきております。現在は主に弊社で放送する音楽コンテンツの劇場版化に軸を置いており、2023年は『劇場版 優しいスピッツ a secret session in Obihiro』が大ヒットしました。弊社は配給会社ではありませんが、地道に自分たちで劇場営業や宣伝といった配給業務にもチャレンジし少しずつノウハウも蓄積してきております。連綿と続く音楽アーティストとの信頼関係は弊社の強みでもあるので、WOWOWでの放送・配信に留まらないで劇場展開までを弊社が一気通貫にお客様にご提供することで、1つのコンテンツを「何度も」「多方面から」「長く」楽しんでいただけたら嬉しく思います。


◎2024年は映像業界にとってどんな一年になると思いますか。


引き続き多種多様なスキームで各社がコンテンツ制作に挑まれるのではないかと思っています。映像業界の中での人員の動きもここ数年で激しさを増していると思いますし、各社の強みや個人の才能がボーダレスに組み合わさって新しいコンテンツが生まれていくムードも感じています。ですので既存の作り方や世の中への届け方に縛られず、なるべく発想を広く持つ、違う角度から見る、ということを心掛けていきたいと思っています。


◎2023年に、特に心を動かされた映像コンテンツがあれば教えてください。


韓国ドラマ「ムービング」です。特殊能力を持つ超能力者たちによる壮大な戦いを描いた話ですが、決してその設定の大きさだけで見せるのではなく、敵・味方それぞれの人生が丁寧に描かれており根底には「愛」が根ざす話です。何より脚本が素晴らしいのでこんなにも続きが観たくなる作品は久々でした。

《Branc編集部》

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