SAG-AFTRA、批准投票期限前に暫定合意全文を公開 幹部からAIの条項に懸念の声も

SAG-AFTRA幹部が暫定合意のAIに関する規約に警鐘を鳴らしている。

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SAG-AFTRA、批准投票期限前に暫定合意全文を公開 幹部からAIの条項に懸念の声も

Photo by Mario Tama/Getty Images

映画俳優組合-アメリカ・テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)が、12月5日(火)まで行われる批准投票の結果を待たずして、同組合のWebサイトに129ページにわたる暫定合意の全文を公開した。しかし、同組合の幹部から、暫定合意の内容に対して懸念の声が上がっているという。

16万人に及ぶSAG-AFTRAの組合員が、暫定合意内容を批准するか否かを決めるために12月5日まで投票を行い、承認された時点で、2023年11月9日から2026年6月30日まで新契約が有効となる。

Deadlineによると11月24日(金)、SAG-AFTRAの事務局長であるダンカン・クラブツリー=アイルランド氏が組合員に宛てた書簡にて、暫定合意全文を公開した理由に言及。「ご存知のように、正式な合意覚書(MOA)の作成には何週間もかり、通常、SAG-AFTRAの契約批准投票は新契約の詳細な要約に頼ることになります。しかし、この歴史的な契約に関して一部の組合員が、批准投票の期間中にMOAの草案全文を確認したいと要求しています」と綴っている。

クラブツリー=アイルランド氏は、批准プロセスで新契約の内容を確認したい組合員のために、暫定合意の内容を公開したとしている。同書簡には、10億ドル(約1,490億円)以上の報酬と福利厚生計画の資金調達、AI(人工知能)に関する長く詳細な新規約の設定、桁外れとなるストリーミングの再配信料の約束など、新契約で実現する項目を大まかに記載。また書簡では、これらの項目は批准投票で契約が承認されるまで決定ではなく、暫定合意の全文公開は、投票に関する組合員の意志決定を支援するための情報提供にすぎないと強調されている。

しかし、Screen Dailyによると、この暫定合意内容で新契約を結びたいクラブツリー=アイルランド氏に対し、SAG-AFTRAの交渉委員会でAI顧問を務めたジャスティン・ベイトマン氏は、「暫定合意の内容ではAIからの保護が十分ではない」と何度も警鐘を鳴らしているという。

また、暫定合意に反対票を投じた9人の理事のうちの一人だったマシュー・モディーン氏も、提案されたAIの規約に対して懸念を示す声明を先週発表。「出演者の独立性と、経済的な将来を脅かすような契約を支持することはできません。“同意”とは、自分の身体的、そして声のアイデンティティを雇用主に明け渡すことを意味するファウスト的な取り引きです。この契約が批准されれば、今後すべての契約は雇用条件として、雇用主が定義するAIの使用に同意することを組合員に要求することになるかもしれません」と主張した。

ある有力な情報筋によれば、オンラインの批准投票は11月14日の開始から数日にわたって「殺到」したという。ベイトマン氏やモディーン氏をはじめとする幹部から反対する声が上がるなか、果たして暫定合意は承認されるだろうか。12月5日以降に発表される投票の結果を待ちたい。

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。