SAG-AFTRA、AMPTPとの交渉決裂。スタジオ側の「いじめ戦術」を訴える

映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)と映画テレビプロデューサー同盟(AMPTP)の交渉は依然として決裂したままであると報じられている。

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SAG-AFTRA、AMPTPとの交渉決裂。スタジオ側の「いじめ戦術」を訴える
Photo by Mario Tama/Getty Images SAG-AFTRA、AMPTPとの交渉決裂。スタジオ側の「いじめ戦術」を訴える

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ハリウッドでストライキを行っている映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)と映画テレビプロデューサー同盟(AMPTP)の交渉は決裂したままであるとVarietyが報じている。

暫定合意に達したWGAに続き、AMPTPとの再交渉を行ったSAG-AFTRA。現地時間10月11日午前0時過ぎにSAG-AFTRA組合員向けに発表された声明の中で、SAG-AFTRAはAMPTP側が“いじめ戦術”をとっていると非難。AMPTPはSAG-AFTRAの最新の提案を拒否した後、交渉のテーブルから離れたと述べた。

重要な障害となっているのは、AMPTPによれば年間8億ドル(約1,198億円)かかるとされる、ストリーミング収入の分配に関する組合の提案である。SAG-AFTRAは「スタジオ側が提供する数字は60%誇張されており、その提案はストリーミングプラットフォーム加入者一人当たり年間57セントの負担を強いることになる」と述べた。SAG-AFTRAは、配信作品や他のプラットフォームからライセンスされた映画・テレビ番組など、組合の対象となるすべての番組について、全米脚本家組合(WGA)が獲得した成功報酬をはるかに超える報酬の分配を望んでいる

一方、スタジオ側は「SAG-AFTRAの現在の提案には、年間8億ドル以上の費用がかかり、これほどの経済的負担には耐えられない」と声明で述べた。これに対し、SAG-AFTRAは「“大きな意味のある対抗策”を打ち出し、分配率案を完全に変更した」と述べ、組合員の決意を弱めるためにスタジオ側が誤解を招くような情報を流していると非難した。SAG-AFTRAは、インフレ率に見合った最低賃金の11%引き上げも求めており、AMPTPはWGAと全米監督組合(DGA)に与えたのと同じ条件、つまり5%、次いで4%、3.5%の値上げを提示している。

そしてAMPTP側は11日に発表した声明の中で「有意義な話し合いの結果、AMPTPとSAG-AFTRAの間のギャップが大きすぎることは明らかであり、話し合いはもはや生産的な方向には進まない」「SAG-AFTRAが再考し、すぐに生産的な交渉に戻ることを望む」と述べた。

また、AMPTPは主役とエキストラ俳優の両方について、AIの使用に同意を求めることで合意したと述べた。しかし、SAG-AFTRAはAIの使用に関して組合の署名を求めるとともに、AIのトレーニングの禁止も求めており、AMPTPの声明はAIに関する合意について誤解を招きかねないと主張し、あらゆる面での対立が続いている。

なお、この俳優たちのストライキは現在90日目に入り、95日間続いた1980年のSAGストライキの期間に近づいている。

《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。