デジタル映写システム更新による多額の設備投資をクラウドファンディングで募集、対象は「シアターキノ」「シネマ尾道」

是枝裕和監督、西川美和監督からの応援コメントも。

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デジタル映写システム更新による多額の設備投資をクラウドファンディングで募集、対象は「シアターキノ」「シネマ尾道」
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国内最大級のクラウドファンディング・プラットフォームを運営するMotionGalleryは、ミニシアターのデジタル映写システム(DCP/デジタル・シネマ・パッケージ)更新による多額の設備投資をクラウドファンディングで募るプロジェクトを2つの映画館を対象に開始した。

2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令され、政府からの外出自粛要請が続く中、閉館の危機にさらされた全国のミニシアター。その支援のため、同社代表の大高健志氏、映画監督の深田晃司氏・濱口竜介氏らが発起人を務めたクラウドファンディング、ミニシアター・エイド基金が立ち上げられ、多くの映画ファンや映画関係者が映画館への思いを胸に集い、結果的に3万人以上の支援者から3億3千万円を越える支援金が集められた。

このプロジェクトはミニシアターがコロナ禍を乗り越える大きな力となったが、今、全国のミニシアターはさらなる困難に立ち向かっているとのこと。それは、この20年の映画上映における最大の変化とも言えるデジタル映写システムによる多額の設備投資を要するデジタル化の問題だ。

2010年初頭から訪れた映画館の心臓部である映写機のフィルムからデジタルへの移行は、地域の映画館の閉館に拍車をかけた。約10年毎に部品の製造終了があり、更新せざるを得ないこのシステムは、中古でしばらくの期間使えたとしても修理部品がなくなれば使用できなくなり、更新を余儀なくされる。

そのため、計画的にシステム更新に向けて積立をしてきたミニシアターでも新型コロナウイルス感染拡大での観客激減による大幅な赤字が続き、その積立を赤字補填に充当したことで、資金の工面に難航し、存続の危機にあるという。

地域の映画館が厳しい状況を迎えている中でも、「コミュニティ再生」や「商店街活性化の拠点」として、市民らが中心となる形の映画館が全国各地で新設、再生され、今回プロジェクト実施中の「シアターキノ」「シネマ尾道」も市民らが公共財産として大切に育んできた。また、オンラインでのストリーミング配信サービスが一般化し、パソコンや、スマートフォンでの映画鑑賞も一般化した今、 映画の本質である「共有」「共有する場」としての映画館の意味が見直されている。

シアターキノ(北海道)について

1992年の創設以来、29席という日本一小さな映画館としてスタート。1998年4月に2スクリーン(75席と63席)のミニシアターとして移転し、昨年30周年を迎えた。今まで多様な国や民族の、インディペンデントからエンターティメントまで6,000本を超える作品を上映。そして多数の監督、キャスト、スタッフの皆さんをお招きしたトークとティーチインを積み重ね、映画講座やワークショップを開催、地域の皆さんと合同での映画制作等を行なってきた。また、演劇、アート、音楽、文学といった芸術関係団体との共同事業など、札幌におけるコミュニティシネマとして精力的に活動している。

▼クラウドファンディング概要(https://motion-gallery.net/projects/theaterkino
内容:札幌にある市民出資のミニシアター「シアターキノ」のデジタル映写システム更新支援プロジェクト。
期間:10月31日23:59まで
目標:470万円(新規映写システム導入経費1060万、工事費・映像機器システム社170万、リターン制作費+MOTION GALLERY手数料140万:合計 1370万円の内900万円借入、不足分470万円) リターン:3,000円~500,000円(お礼メール、オリジナル映画鑑賞券、全上映作品ポスター風リスト、映画フィルム用オリジナル缶、オリジナル木綿手拭、予告編上映前にスペシャルサポーターとしてクレジット、ムービーラインナップに大枠広告掲載、お店や法人向けの特別優待カード等)

▼プロジェクト実行者よりメッセージ
30年間、シアターキノは大変多くの皆さまに支えられてまいりましたが、次の40周年に向けて、この大きなハードルを越えて、次へと進んでまいります。どうぞ、これからも、世界の多様な作品を上映するという初心を忘れず、積み重ねてまいりますので、何卒ご支援をよろしくお願い申し上げます。
シアターキノ代表 中島 洋、シアターキノ支配人 中島 ひろみ

▼応援メッセージ
是枝裕和(映画監督):
映画ファンとしても映画監督としても、映画館に育ててもらったという実感があります。その「学校」の中心にシアターキノのようなミニシアターがあります。映画館が無くなったら映画監督という職業も無くなります。どちらも無くしたくないので、声をあげます。再び映画ファンの方々のお力をお借りする形になりますが手を携えて残したいものを自らの手で残す努力をしたいと思います。


西川美和(映画監督):
もし自分の育った街に映画館がなかったら、私はおそらく映画監督になってはいなかったと思います。学校の授業では眠ってしまう、遠い国の歴史や戦争や社会のはなしも、映画ならばのめり込んで観られるし、知ることのできた喜びに満たされます。部活や人間関係がうまくいかなくても、映画館は安全に一人にさせてくれ、そして世界には別の風景があることを教えてくれました。街の映画館は、その国に住む人の公共財産だと思います。シアターキノのデジタル設備のサポートにご協力ください。私も応援しています。

シネマ尾道(広島)について

昭和22年から続いていた「旧尾道松竹」が2001年に閉館となり、2,700万円の市民草の根募金を集めて改装し、2008年に再興したミニシアター。現在はNPO法人を母体とし、社員、アルバイトスタッフ、地元大学生や社会人などのボランティアスタッフで運営し、開館15年目を迎えている。「こども映画制作ワークショップ」などを開催し、映画を通じた地域の子どもたちへの情操教育や映画を通じた尾道の街づくりに貢献している。

▼クラウドファンディング概要(https://motion-gallery.net/projects/cinema-onomichi1018
内容:これからも映画の街・尾道に映画館を存続させ、快適な映画館づくりを目指したプロジェクト。デジタル映写機(中古)の購入と入れ替え、老朽化した建物の一部のリノベ―ションなどを目指す。※目標金額を超える支援金額(2倍以上)が集まった際は、中古ではなく新品のデジタル映写機導入も検討。
期間:10月31日23:59まで
目標:450万円(デジタル映写機中古購入・設置費300万円、空調整備60万円、建物の老朽化のリノベーション20万円、ロビー支援プレート制作費10万円、リターン経費・送料15万円、クラウドファンディング手数料45万円)
リターン:5,000円~1000,000円(シネマ尾道ロビー支援プレートにお名前・社名を掲示、1年間有効の招待券、15周年記念グッズボールペン、シネマ尾道オリジナルグッズ手拭い、尾道の美味しい名物、シネマ尾道支配人河本清順と映画の街・尾道のロケ地巡り、4ヵ月幕間スクリーンCM上映権、シネマ尾道で好きな映画を上映できる上映作品選定権等)

▼プロジェクト実行者よりメッセージ
開館15周年の節目を迎えるにあたり、これからも映画館を存続させることを目的としたプロジェクトです。尾道の文化の発信拠点を守り、先人たちが紡いでいきた「映画の街・尾道」の歴史を次世代に繋げていきたいと考えています。そのためには、皆さまからのご支援ご協力が不可欠です。これからも尾道の街に映画館を残していけるよう、精一杯精進してまいります。どうかご支援のほど、お願い申し上げます。
シネマ尾道 支配人、NPO法人シネマ尾道代表理事 河本清順

《Branc編集部》

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