アカデミー賞を運営する映画芸術科学アカデミー(AMPAS)は、アンドレア・ライズボローが小規模インディーズ映画 『To Leslie(原題)』でオスカーにノミネートされたことを受け、現地時間1月27日(金)に「キャンペーン手順の見直しを行っている」と発表した。
この声明では、「賞の競争が公正かつ倫理的に行われるようにすることがアカデミーの目標であり、私たちは包括的な賞のプロセスを確保することに尽力しています」と述べられている。『To Leslie』の興行収入はわずか2万7,000ドルだが、ライズボローのために支援者が行ったバイラルな草の根キャンペーンが批判を浴びることになった。
火曜日のノミネーション以来、業界では、彼女のキャンペーンがAMPASの定める規則やガイドラインに違反していないかどうか熱く議論されてきた。実際、複数の情報筋によると、アカデミーは来週火曜日に会合を開き、そこでライズボローのノミネーションが議題として取り上げられる予定だという。
この冬の間にも、Netflixの『西部戦線異状なし』やパラマウントの『トップガン マーヴェリック』といった賞候補作品はロサンゼルス西部で多くのビルボードを目にすることができるが、『To Leslie』については何もないことは確かだ。しかし、彼女の草の根活動は、エドワード・ノートン、ジェーン・フォンダ、そして同じくノミネートされたケイト・ブランシェットといったスターたちの支持を集め、全員が彼女の作品を公に賞賛したのである。『To Leslie』を監督したマイケル・モリスの妻メアリー・マコーマックは、ライズボローの支持者を集めるのに貢献したとのこと。アカデミー賞の投票者に映画の良さをアピールして観てもらうのは悪いことではないが、今回の問題は一線を越えた「攻撃的な戦術」を用いたキャンペーンという見方が多い。
実際、AMPASはルール違反を理由に映画やアーティストを失格にした前例がある。2014年、当時アカデミー音楽部門の執行委員だったブルース・ブロートン作曲の映画『Alone Yet Not Alone』の同タイトル主題歌が歌曲賞にノミネートされたが、投票期間中に音楽支部のメンバーにメールで投票を呼び掛けていたことが発覚し、ノミネートは取り消された。ライズボローの場合、アカデミー会員に直接勧誘があったことを示す「決定的証拠」をまだ見つけられていない。しかし、彼女のために活動した他の人たちは、規則違反ではないかと告発されている。
アカデミー会員である『タイタニック』のフランシス・フィッシャーは、ライズボローの最も声高な支持者の一人で、彼女の演技に関する複数の投稿をソーシャルメディア上で共有していた。しかし、それらの投稿のいくつかは、アカデミーの規則11番「名前やタイトルで『競争相手』を特別視するような戦術は、明確に禁止されている」に違反する可能性がある。もし、正式な苦情が提出されれば、フィッシャーはアカデミーから1年間の停職処分を受けることになる。
ライズボローのノミネートキャンペーンの成功は、アカデミー賞がソーシャルメディアへの投稿ルールをどう適用するかを見直す契機となることは確かだ。アカデミー会長のジャネット・ヤンが『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で主演女優賞にノミネートされたミシェル・ヨーを賞賛したインスタグラムの投稿も投票者の間で波紋を呼んだが、すぐに削除された。この種の問題は今年のアカデミー賞のノミネートが発表される前からあったのだ。
Sources:Variety、IndieWire