世界のメタバース市場は2030年に7,000億ドルに達するとの予想

Research and Markets社は「The Global Metaverse Market」と題する新しいレポートを共有し、メタバース市場は予測期間(2022年~2030年)に40%の指数関数的なCAGRを記録し、2030年には7,000億ドルの収益に達すると予測している。

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世界のメタバース市場は2030年に7,000億ドルに達するとの予想
Image by Mohamed Hassan from Pixabay 世界のメタバース市場は2030年に7,000億ドルに達するとの予想

メタバース(仮想空間)は、一時の流行語から、実体経済を伴う巨大市場へと変貌を遂げようとしている。 調査会社Ken Researchが公開した最新レポート「Global Metaverse Market Size... 2022-2030」によると、世界のメタバース市場は2030年までに7,000億ドル(約90兆円規模)に達し、2022年から2030年までの予測期間中に年平均成長率(CAGR)約40%という驚異的な拡大を記録する見込みだ。

※CAGR:年平均成長率

この成長の背景には、テック企業たちによる熾烈な「インフラとプラットフォームの覇権争い」がある。

多くの人々がメタバース=アバターやコンテンツと考えがちだが、現時点で市場を支配しているのは「ハードウェア」だ。 レポートによれば、2021年時点で最大の市場シェアを握っていたのはコンポーネント部門のハードウェアであり、特にVR/ARヘッドセットの普及が鍵を握っている。

特筆すべきは、Meta(旧Facebook)の圧倒的な存在感だ。2021年のVRヘッドセット市場において、同社の「Meta Quest 2」は出荷台数870万台を記録し、市場全体の78%という独占的なシェアを獲得した。また、最近ではMetaとQualcommがXR向けチップセットの設計で提携するなど、次世代デバイスの開発競争が加速している。 2020年のスマホ普及率54%から2040年には96%に達するという予測(インドIBEF)もあり、モバイルとXRデバイスの融合が今後の成長ドライバーとなることは間違いない。

エンドユーザー層として現在最大なのは「ゲーム」分野だが、ここでの動きはビジネス活用への布石でもある。 象徴的なのが、MicrosoftによるActivision Blizzardの買収(2022年1月発表)だ。この動きについてレポートでは、単なるゲームコンテンツの拡充にとどまらず、「メタバースへの構成要素(building blocks)を提供する」ための戦略的投資であると分析している。

また、資産市場(Asset Marketplace)としての側面も見逃せない。NFTや暗号資産への投資増加が市場を牽引しており、驚くべきことに米国政府ですら2022年2月時点で40億ドル相当のビットコインを保有しているというデータも示されている。これは、仮想空間上の経済圏が、国家レベルの資産管理にも影響を及ぼし始めていることを示唆している。

市場はMetaやMicrosoft、NVIDIAといった「グローバルプレイヤー」が主導しているように見えるが、実は彼らが支配しているのは市場の約10%に過ぎない。 レポートによると、約500のプレイヤーが競争を繰り広げており、その中には特定地域やニッチな産業に特化した「カントリー・ニッチ・プレイヤー」が多数存在する。これは、日本のスタートアップや技術企業にとっても、特定分野(例えば製造業向けデジタルツインや、教育特化型メタバースなど)において参入の余地が十分に残されていることを意味する。

予測の上では高い成長率を示しているが、その成長が順調にいかないことがあるとすれば、「セキュリティ」の問題が挙げられるだろう。 FBIのインターネット犯罪苦情センター(IC3)には、2021年の半年間だけで2,000件を超えるサイバー攻撃の報告が寄せられている。データ漏洩やシステム侵害のリスクは、企業のメタバース参入における最大の懸念材料となっている。

それでも、メタバース市場は「3D環境でのリモートワーク」や「eコマースの拡張」という実需に支えられ、インフラの発展と共に拡大を続けると思われる。しかし、そのためには、ハードウェアの進化とセキュリティの担保という、課題をクリアする必要がありそうだ。

Source:Research and Markets
《伊藤万弥乃》

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伊藤万弥乃

伊藤万弥乃

海外映画とドラマに憧れ、英語・韓国語・スペイン語の勉強中。大学時代は映画批評について学ぶ。映画宣伝会社での勤務や映画祭運営を経験し、現在はライターとして活動。シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き。