国内のクリエイターエコノミーに関する調査が実施、コンテンツ消費が増加し将来の市場規模は10兆円を超える試算に

クリエイターエコノミー協会は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングと共同で、国内のクリエイターエコノミーに関する調査を実施した。

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国内のクリエイターエコノミーに関する調査が実施、コンテンツ消費が増加し将来の市場規模は10兆円を超える試算に
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  • (出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング
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クリエイターエコノミー協会は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングと共同で、国内のクリエイターエコノミーに関する調査を実施した。

近年、動画や文章、イラストなどデジタルコンテンツの提供や自身で制作したグッズやスキルの販売など、クリエイターの活躍の場が大きく広がっている。また、クリエイター活動のマネジメントや事務手続きをサポートするサービスなど、クリエイターの活動を多面的に支援するサービスも登場し、クリエイターを中心としたこれらの経済圏、“クリエイターエコノミー”が拡大している。

2022年6月7日に政府が閣議決定した、骨太の方針に「クリエーターの創作活動の支援」※が盛り込まれるなど、今後ますます注目が高まることが予想されていることを踏まえ、本調査が行われた。

※出所:経済財政運営と改革の基本方針2022 P19

国内クリエイターエコノミーの市場規模と近年の傾向とは?

国内クリエイターエコノミーの市場規模は1兆3,574億円にのぼることが明らかになった。なお、2021年に実施された海外の調査※では、世界のクリエイターエコノミーの市場規模は約1,042億ドル(1ドル=145円とすると15.1兆円)と推計されており、国内クリエイターエコノミーがその約1割に相当する

拡大の要因として、多様なプラットフォーム・収益化手法の登場により、クリエイター個々のスキルや志向に沿った活動が行いやすくなったことや、政府の働き方改革の一環として、副業・兼業をはじめとした多様な働き方が推進されたことが挙げられる。また、コロナ禍でコンテンツの消費量も増加したことも要因の一つと考えられる。

さらに傾向として、「コンテンツ」からクリエイター「個人」に対する、”ファン化”が進展している。モノやコンテンツ、スキルをクリエイターが直接販売できる収益モデルが登場し、最近ではクリエイター個人がサブスクリプションを簡単に提供できるサービスや、ファンと交流できるコミュニティサービスなどが続々と登場。モノやコンテンツの「対価」だけではなく、クリエイター個人の活動への「サポート」としても収入を得られるような状況にある。

※出所:NeoReach Social Intelligence APIとInfluencer Marketing Hubの共同調査(2021年5月)

「クリエイター」は専業か副業か、収益実態と課題も明らかに

15~69歳の男女のうち、「クリエイター活動のプラットフォームにモノやコンテンツを提供したことがある」クリエイターとして活動している人の割合は10%だった。この数値を基に推計すると、国内のクリエイター数は約822万人となり、プラットフォームで活動している人に限定しているものの、すでに一定の規模を持つことがうかがえる。

活動のきっかけは「自分の創作した物・サービスを発信したかった」が65%と最も多く、収入を目的としているケースも半数弱あるものの、必ずしも収入を目的とせず、自身の趣味や特技の延長で活動を開始し、結果的に収益につながっているクリエイターも相応に存在すると考えられる。

収益状況では、約6割のクリエイターが収入を得ており、収入ゼロのクリエイターを含めた平均収入は12.8万円/月だった。また、専業・副業別の収入有無では、専業クリエイターのうち、半数近くが20万円/月以上の収入を得ており、一般的な会社員等と同程度の収入を得ているクリエイターも相応に存在することが明らかになった。

クリエイター活動を行う上での課題では、収益化や資金獲得、活動時間の捻出に関する課題が上位を占めているものの、お金を払ってでも解決したい課題としては、「法律や税金等の事務処理」や「個人での企業交渉」、「トラブル対応」など、オペレーション面の課題が上位を占めており、創作活動以外も含めたトータルサポートに対するニーズが想定される。また、クリエイターの4人に1人が誹謗中傷を受けた経験があることも判明した。

将来の国内クリエイターエコノミーの市場規模は、10兆円を超える試算も

現時点での国内の潜在クリエイター数は2,200万人にのぼると推計され、前述した現在クリエイターとして活動している人と合わせると、その数は3,000万人を上回り、国内の経済成長に寄与する観点でも大きなポテンシャルを秘めていることが分かった。今後も同程度のペースで市場が拡大した場合、クリエイターエコノミー市場規模は2034年に10兆円を上回ると試算できる

《Branc編集部》

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