新千歳空港国際アニメーション映画祭にて、「スタジオ特集:MADHOUSE」と題した上映プログラムおよびトークショーが開催された。
1972年の創立以来、常に時代を牽引する作品を送り出してきたマッドハウス。本プログラムでは、『葬送のフリーレン』(第10話)および『ACCA13区監察課 Regards』の上映に加え、2027年公開予定の夏目真悟監督によるオリジナル長編『ghost(仮題)』のパイロット映像が上映された。
登壇者は、『葬送のフリーレン』監督の斎藤圭一郎氏、同作第10話絵コンテ・演出を務めた刈谷暢秀氏、アニメーションプロデューサーの福士裕一郎氏とプロデューサーの田口亜有理氏の4名。映画祭プログラムアドバイザーの田中大裕氏が進行を務め、制作の舞台裏やスタジオの空気感が語られた。
信頼と挑戦が生んだ『葬送のフリーレン』第10話
本プログラムはまず、『葬送のフリーレン』第10話「強い魔法使い」が上映され、このエピソードに関連する話題から始まった。アウラとの決着が描かれるシリーズ屈指の人気エピソードであるこの回を斎藤監督は、刈谷氏に演出を託した。
その経緯について、斎藤監督は「刈谷君は過去の担当作品でも重要なシーンを任せてきたキーパーソン」だと語る。当初、アウラ編のクライマックスである第10話か、エピソードの締めくくりとなる第11話のいずれかを打診したところ、刈谷氏自身が「盛り上がる第10話をやりたい」と志願したという。刈谷氏は斎藤監督について、世代も近くて話が通じやすく、自由にやらせてもらえる部分もあって信頼し合っていると、そのパートナー関係について語ってくれた。
刈谷氏は、「当時は自分も若く、派手な回をやりたいという欲があった」と笑いつつも、アウラとの決着や師匠フランメとの回想シーンを情緒的に描くことに注力したと振り返る。
今エピソードは、とりわけアウラの断頭シーンが視聴者に鮮烈な印象を与えた。このシーンについて、刈谷氏は担当アニメーターのもああん氏との打ち合わせの際、自ら傘を持って首を落とす動作を実演し、それを撮影して作画の参考にしたという。





