ギレルモ・デル・トロがNetflixとパリにストップモーションのスタジオ設立へ。AI時代に伝統技術を継承

デル・トロ監督とNetflixが伝統技術のストップモーションスタジオ設立を発表し、AI時代に技術継承と次世代育成を目指す。

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『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』でアカデミー賞を受賞したデル・トロ監督 Photo by Kevin Winter/Getty Images
『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』でアカデミー賞を受賞したデル・トロ監督 Photo by Kevin Winter/Getty Images

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞を受賞したメキシコの巨匠、ギレルモ・デル・トロ監督は2025年10月10日、Netflixおよびパリの著名な映画学校ゴブランと共同で、ストップモーション・アニメーション専門のトレーニングスタジオを設立することを発表した。AI技術が台頭する現代において、伝統的なアニメーション技術の保護と次世代クリエイターの育成を目指す。

「絶滅の危機にある」ストップモーションへの情熱

デル・トロ監督は、ストップモーションは実物のモデルを1コマずつ動かして撮影する、最も歴史の古いアニメーション技法だと語る。現代では『ウォレスとグルミット』や『チキンラン』などの作品で広く知られている英国アードマン・スタジオや『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』の米国ライカなどのスタジオが世界的に有名だ。

デル・トロ監督は、パリ南東部に位置するゴブラン映画学校での記者会見で、「ストップモーションの世界で重要な名前は、誰もが50歳を超えている」と現状への危機感を表明。「ストップモーションは常に絶滅の危機に瀕しており、それを守っているのは、少しクレイジーで献身的な人々による小さなカルトのようなものだ」と、この技術への深い愛情をユーモアを交えて語った。同監督は2022年に、この技法を駆使した映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』でアカデミー長編アニメ映画賞を受賞している。


《杉本穂高》

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杉本穂高

Branc編集長 杉本穂高

Branc編集長(二代目)。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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