文化庁は令和7年度「国際文化交流・協力推進事業」の一環として、8月21日に横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)にて、「アフリカ諸国のマンガ産業」をテーマにしたシンポジウムを実施した。同シンポジウムには、漫画家で参議院議員の赤松健氏をはじめ、アフリカ出身のクリエイターらが登壇。急成長するアフリカのマンガ市場の現状と課題、そして日本との連携の可能性について活発な議論が交わされた。

アフリカで熱を帯びる日本マンガ、創作の原点と現地のリアル
シンポジウムでは、アフリカの第一線で活躍するクリエイターが、自身の創作活動の原点として日本のマンガ・アニメがいかに大きな影響を与えたかを語った。
モロッコ出身のビジュアルアーティスト、ユネス・エル ハルシ氏は、80年代に放送されていた『UFOロボ グレンダイザー』や『宝島』に衝撃を受けたと述べた。一方、カメルーン出身でセネガルを拠点に活動するジャン・ビンジュリ氏は、90年代にフランスのケーブルテレビで観た『ドラゴンボール』のダイナミズムとエネルギーに魅了されたことが、創作の道を志すきっかけだったという。
彼らの熱のこもった話に対し、赤松健議員は「お二人とも非常に詳しい」と驚きを示した。日本のマンガ・アニメが世界で人気を博す理由について問われると、赤松氏は「表現の自由」が日本の強みであると指摘。「様々なトライアルができる環境が多様な作品を生み出し、その中から特に面白いものがアニメ化されるというシステムがあるのが強み」との見解を示した。
