株式会社IMAGICA GROUPは、創業90周年の節目となる2025年に、自社初となる「オリジナル映画製作プロジェクト」を発足。その第1弾作品を第78回カンヌ国際映画祭の会期中に発表する。
国際映画祭を見据えた映画製作を継続的に支援
IMAGICA GROUPは1935年創業。映像コンテンツ制作から技術提供、配信・流通向けサービスまで展開する総合映像企業だ。グループ傘下には、映画やアニメ、CM制作で実績を持つROBOTやP.I.C.S.、アニメーション・CG・VFXに強みを持つOLMなどが名を連ねる。
本プロジェクトは、IMAGICA GROUPグループ内から映画企画を公募し、国際映画祭での出品や受賞を見据えた1作品を毎年選出・製作するという取り組みで、今後5年間にわたって継続される予定だ。
応募資格はグループ会社に所属するプロデューサーに限られ、外部クリエイターは同社グループのプロデューサーとチームを組ことによって応募可能となる。第1弾には88企画の応募があり、グループ内審査・最終審査を経て選出された。
選ばれた作品の制作は、ROBOT、P.I.C.S.、OLMのいずれかの制作会社が担当する予定。第1弾作品の製作費は上限7,000万円をIMAGICA GROUPが出資し、製作委員会を組成のうえ正式決定する。
是枝裕和氏、市山尚三氏、坂野ゆか氏が審査員として参加
最終審査員には、カンヌでパルムドールを受賞した是枝裕和監督、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの市山尚三氏、川喜多記念映画文化財団常務理事の坂野ゆか氏が名を連ねた。
是枝氏は「世界で活躍できる若手映画人の育成というIMAGICAの理念に共感した」とコメント。市山氏は「原作ありきの企画が主流のなかで、オリジナル脚本に光を当てるこの取り組みは貴重」と語った。坂野氏も「民間主導でこれほど本気の新進監督支援プロジェクトは初めて」と期待を寄せている。
カンヌで作品・監督・プロデューサーを発表へ
第1弾作品の詳細発表は、カンヌ映画祭期間中の現地時間5月14日に実施予定。IMAGICA GROUP代表の長瀬氏から作品概要、プロデューサー、監督が明らかにされるとともに、是枝監督による講評も行われる予定だ。
長瀬氏、審査員3名のコメントは以下の通り。
株式会社IMAGICA GROUP 代表取締役社長 社長執行役員 俊二郎氏のコメント
IMAGICA GROUPは今年、創業90周年を迎えました。この節目に立ち上げた本プロジェクトは、次世代の映像クリエイターに活躍の場を提供し、日本映画の新たな可能性を切り開くことを目的としています。当社グループ内のプロデューサーをはじめ、国内外の若手監督や映像作家が自由に挑戦し、表現できる環境を整えることは、私たちの責任であり、未来への投資でもあります。欧州をはじめとする国際映画祭では、社会課題を描いた作品や独自の芸術表現が高く評価されていますが、日本においては、そうした作品をつくるには依然として高いハードルがあります。だからこそ私たちは、映像文化の多様性を広げ、才能あるクリエイターが世界に挑戦できる土壌を築き、日本映画の国際的な発信力を高めていきたいと考えています。
映画監督 是枝裕和氏のコメント
映画界の次世代の才能を発掘し、世界で活躍できる人材を育てたいというIMAGICA GROUPの取り組みに共感し、自分にできることがあればと、このプロジェクトに参加いたしました。
昨年、今年と、カンヌ国際映画祭に多くの若い映画人が招待されていることからもわかるように、日本の新たな才能への注目は年々高まっています。この追い風に乗って、次なる才能が世界へと羽ばたいていくお手伝いが出来ればと思います。
東京国際映画祭プログラミング・ディレクター 市山尚三氏のコメント
出資者から原作ありきの企画が求められる現在の日本映画界にあって、オリジナル脚本に基づく企画をサポートするこのプロジェクトは、日本の新進監督たちにとって貴重な存在だと思います。サポートを得る企画は一つですが、他にも非常に魅力的な企画があり、日本映画の未来は明るいと感じました。このプロジェクトから多くの素晴らしい映画が生まれることを期待しています。
公益財団法人川喜多記念映画文化財団 常務理事 坂野ゆか氏のコメント
国内有数のラボであり、映像制作に関わる多岐にわたる業務を展開するIMAGICA GROUPさんが、「国際映画祭に出品及び受賞できることを目標にした映画製作企画」のプロジェクトに着手されるというお話を聞き、心躍りました。官ではなく民間の企業によるここまで本気の新進監督のためのプロジェクトは初めてなのではないかと思います。審査対象作品は、IMAGICA GROUPさんのグループ会社より募集した中から厳選されただけのことはある、予想を超えた巧みでありフレッシュな企画の数々で、1本に絞り込むのに困難を極めた嬉しくも苦しい審査でした。栄えある第1回目の選出作品が国際映画祭を足掛かりに羽ばたいてゆかれること、期待でいっぱいです。