アニメフィギュアや関連グッズの製造・販売を手がけるグッドスマイルカンパニーは4月23日、米国政府による通商方針の変更に伴い、同社製品の一部に対して追加関税が発生する可能性があると発表した。これにより、アメリカ合衆国およびその海外領土に向けた商品の注文受付に一部制限が生じる見通しだ。
同社によれば、対象となるのは中国工場で製造された商品であり、米国税関において「中国製」と判断された場合、購入者に対して追加の関税が課せられる可能性があるという。特に注目すべきは、これまで免除されていた800ドル以下の商品に対しても、2025年5月2日以降は「デ・ミニミス免税制度」が適用除外となる見込みである点だ。関税率は商品分類によっては145%以上に達する可能性もあるとされ、コレクターや一般購入者にとって大きな負担となる。
今回の措置は、トランプ大統領が推進する「米国第一」政策の一環として発表された関税強化方針に起因するものとみられる。トランプ氏は、米中貿易の不均衡を是正する目的で、中国からの輸入品に対して高率の関税を課す姿勢を強めており、その影響はアニメやポップカルチャーのグローバル展開にも波及している。
グッドスマイルカンパニーは、フィギュアシリーズ「ねんどろいど」や「figma」などを軸に、アニメやゲーム関連商品を世界中に展開している。2023年の年商は612億円にのぼり、同社のデータによると、北米市場は日本(50.3%)・アジア(23.6%)に次ぐ13.9%のシェアを持つ主要市場と位置づけられている。だが今回の政策変更により、米国市場での販売活動に直接的な打撃が避けられない情勢となっている。
なお、同社はシステム改修のため、2025年4月24日から5月14日までの間、米領における一部商品の予約受付を一時停止する予定。在庫商品の販売は継続するものの、追加費用の発生について購入者自身が理解し負担する必要があるとしている。
アニメ産業のグローバル展開が進む中、トランプ政権下で強化される保護主義的な通商政策は、日本のアニメ業界にとって予期せぬ障壁となる可能性が高い。アメリカの経済誌は、トランプ大統領が中国に対する関税を大幅に引き下げる可能性を示唆したことを伝えているが、これまでの経過を考えると余談を許さない状況だ。アニメグッズは、グッドスマイルカンパニーの製品に限らず、中国で製造されているアイテムも多いと思われ、製造・販売両面での影響が今後さらに広がるかもしれない。