ルイジアナ州が映画制作の税控除額を1億2,500万ドルに減額、税額控除廃止は回避

2013年に最高額を記録した2億6,000万ドルから、ほぼ半減

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ルイジアナ州が映画制作の税控除額を1億2,500万ドルに減額、税額控除廃止は回避
Photo by Kendall Hoopes ルイジアナ州が映画制作の税控除額を1億2,500万ドルに減額、税額控除廃止は回避

数多くの映画やドラマシリーズのロケ地として知られているルイジアナ州の上院が、映画制作の税控除額の上限を1億5,000万ドル(現為替で約230億円)から1億2,500万ドル(約193億4,000万円)に減額することを可決した。2013年に最高額を記録した2億6,000万ドルから、ほぼ半減している。

ジェフ・ランドリー州知事は、州の抜本的な税制改革の一環として、映画制作の税額控除を完全に廃止するよう求めていたが、今後は同税額控除を維持したまま改革が進められることになる。

Varietyによると、ルイジアナ州は1992年に映画制作の税優遇措置を導入した初の州となり、その規模は10年後に大幅に拡大。同州は「ハリウッド・サウス」との異名を誇り、『ジュラシック・ワールド』やトム・クルーズの主演映画『オブリビオン』など、数多くの大作映画が撮影された。

こうした背景を受け、映画制作の税額控除廃止の動きに地元制作会社やクリエイターらがロビー活動を開始。その運動を主導したフィルム・ルイジアナは、この優遇措置が1万人の雇用を支え、年間10億ドル(約1,500億円)の経済活動を生み出していると主張した。また、同団体のジェイソン・ワゲンスパック会長は、映画産業が現地にもたらした恩恵は大きく、2023年の経済調査によると、税額控除1ドルにつき6.32ドル(約930円)が地元経済に還元されていると示した。

映画制作の低迷は州レベルではなく、全国的に拡大

IndieWireによると、プログラムの廃止が可決されていた場合、2025年6月20日までに実施され、地元の映画産業に大打撃を与えていたと予想される。

同州のバトン・ルージュ映画委員会で業務執行取締役を務めるケイティ・プライヤー氏は税額控除の維持に安堵しつつも、ランドリー知事が特に映画業界のみをターゲットに税額控除を見直したわけではなく、もっと広範な税制全体の改革を進めていることも指摘。それでも映画業界に対する支援政策が維持されたことで、税制改革を進める上での柔軟性が期待できると発言している。また同氏は、ビジネスが国外に移っているため、映画制作の低迷は州レベルではなく、全国的に起きているとも言及した。

他州における状況については、ここ近年、カリフォルニア州は3億3,000万ドル(約508億円)の税額控除を設け、この数字をギャヴィン・ニューサム知事は2倍以上の7億5,000万ドル(約1,160億円)に引き上げようとしている。一方、数多くの映画やテレビ番組が制作されているジョージア州には税制優遇措置の上限がなく、毎年10億ドル(約1,500億円)の優遇措置を提供しており、ルイジアナ州とは逆に優遇措置を大きくすることで映画制作の活気を取り戻そうとしている。

《Hollywood》
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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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