8月28日から9月7日まで開催された第81回ヴェネチア国際映画祭が閉幕し、受賞結果が発表された。
昨年はSAG-AFTRAストライキの影響で多くのスターが出演を控えたが、今年は活気を取り戻し、マイケル・キートン、ジェナ・オルテガ、ケイト・ブランシェット、アンジェリーナ・ジョリー、ニコール・キッドマン、エイドリアン・ブロディ、ジュード・ロウ、ニコラス・ホルト、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ダニエル・クレイグ、ジュリアン・ムーア、ティルダ・スウィントン、ホアキン・フェニックス、レディー・ガガなどが参加した。
コンペティション部門で金獅子賞に輝いたのは、アカデミー賞を2度受賞しているペドロ・アルモドバル監督の英語デビュー作『The Room Next Door(原題)』。ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアが主演を務める本作は、自らの命を絶つことを決意した女性と、その頃に彼女と再会する友人を描いた物語だ。最優秀脚本賞を受賞したウォルター・サレス監督の伝記ドラマ『Ainda estou aqui(原題)』はフェルナンダ・トーレスの魅力的な演技を堪能できる作品であり、おそらくブラジルのオスカー候補となるだろうと予想されている。
そのほかマウラ・デルペロ監督の『Vermiglio(原題)』が銀獅子賞(審査員大賞) 、『The Brutalist(原題)』のブラディ・コーベットが銀獅子賞(監督賞)、 『Jouer avec le feu(原題)』のヴァンサン・ランドンが最優秀男優賞、『Babygirl(原題)』のニコール・キッドマンが最優秀女優賞を受賞。キッドマンは母親が最近亡くなったため出席できなくなり、彼女に代わって映画監督のハリナ・ラインが賞を受け取った。
また、授賞式の夜は政治的な雰囲気で始まり、Screen Dailyによると受賞者数名がスピーチの中でイスラエルのガザ侵攻について言及。『Familiar Touch』でオリゾンティ部門の最優秀監督賞とルイジ・デ・ラウレンティス賞(新人監督賞)を受賞したサラ・フリードランドはイスラエルの行為を「大量虐殺」と評したとのことだ。今年のコンペティション部門ではイザベル・ユペールが審査委員長を務め、そのほか審査員にイギリス人映画監督のアンドリュー・ヘイ、昨年の審査員特別賞受賞者のアグニエシュカ・ホランド、ブラジル人映画監督のクレーベル・メンドンサ・フィリョ、セザール賞受賞者のアブデラマン・シサコ、『ニュー・シネマ・パラダイス』の脚本家兼監督のジュゼッペ・トルナトーレ、ドイツ人映画監督のユリア・フォン・ハインツ、『グリーン・デスティニー』や『SAYURI』の中国人女優チャン・ツィイーらが名を連ねた。
なお本映画祭会長のピエトランジェロ・ブッタフオコは、スピーチでチケットの売上と観客数は昨年より12%増加したと語った。
🎥コンペティション部門 受賞結果
The Room Next Door/ペドロ・アルモドバル(スペイン) 🏆金獅子賞(最高賞)
Vermiglio/マウラ・デルペロ(イタリア、フランス、ベルギー) 🏆銀獅子賞(審査員大賞)
The Brutalist/ブラディ・コーベット(イギリス) 🏆銀獅子賞(監督賞)
Babygirl/ハリナ・ライン(アメリカ) 🏆最優秀女優賞(ニコール・キッドマン)
Jouer avec le feu/デルフィーヌ・クラン、ミュリエル・クラン(フランス) 🏆最優秀男優賞(ヴァンサン・ランドン)
Ainda estou aqui (I’m still here)/ウォルター・サレス(ブラジル、フランス) 🏆最優秀脚本賞
April/デア・クルムベガスビリ(フランス、イタリア、ジョージア) 🏆審査員特別賞
Leurs enfants apres eux/ゾラン・ブケルマ、リュドビック・ブケルマ(フランス) 🏆マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞/ポール・キルヒャー)
Campo di battaglia/ジャンニ・アメリオ(イタリア)
Iddu (Sicilian Letters)/ファビオ・グラッサドニア、アントニオ・ピアッツァ(イタリア、フランス)
Queer/ルカ・グァダニーノ(イタリア、アメリカ)
Kjærlighet (Love)/ダーグ・ヨハン・ハウゲルード(ノルウェー)
The Order/ジャスティン・カーゼル(カナダ)
Maria/パブロ・ラライン(イタリア、ドイツ、アメリカ)
Trois amies/エマニュエル・ムレ(フランス)
El Jockey (Kill the Jockey)/ルイス・オルテガ(アルゼンチン、メキシコ、スペイン、デンマーク、アメリカ)
ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ/トッド・フィリップス(アメリカ)
Diva Futura/ジュリア・ルイーズ・スタイガーバルト(イタリア)
Harvest/アティナ・ラヒル・ツァンガリ(イギリス、ドイツ、ギリシャ、フランス、アメリカ)
Qing Chun: Gui (Youth: Homecoming)/ワン・ビン(フランス、ルクセンブルク、オランダ)
Stranger Eyes/ヨー・シュウホァ(シンガポール、台湾、フランス、アメリカ)