2024年7月3日から5日にかけて、RX Japanが主催するイベント「第15回コンテンツ東京」が東京ビッグサイトで開催された。本稿では、7月5日に開催されたカンファレンス「北米市場における日本製アニメの商品化最新動向と今後の方向性」のレポートをお届けする。
講演はPwCコンサルティングStrategy & エンタテイメント&メディア・インダストリー・イニシアチブ パートナーの森祐治氏とMark Shinohara Business Consulting Business Consultant for Toys and Entertainment Industryのシノハラ マーク氏が登壇し、グッドスマイルカンパニー代表取締役会長の安藝貴範氏がオンラインで出演した。
海外アニメ市場は日本ほどメディアミックスが機能していない
今日、北米市場では日本のアニメの人気が増し続けており、アニメ作品そのものだけでなく、アニメを取り巻くグッズ──すなわちマーチャンダイジングのプロダクトも注目を浴びている。
日本動画協会のアニメ産業レポートによれば、今日本のアニメは約3兆円の市場規模を持っており、約50%が海外での売り上げとなっている。また、国内の売り上げとなる残り50%のうち約20%はマーチャンダイジングが占めており、メディアミックスが大きな利益を生み出し、それがさらなる創作へとつながる循環が成立している。
アニメの海外市場が伸び始めたのは2010年代以降に起きた中国市場の急拡大と、コロナ禍のステイホームによる動画配信サービス市場の世界的な拡大によるところが大きく、森氏は「アニメはもちろん、実写ドラマなども私たちが思っている以上に、海外で広く受け入れられています」と補足した。
海外の調査会社・Parrot Analyticsによると全世界のZ世代の好きなテレビ番組トップ20作品は半分以上が日本のアニメで、2021年の1位に輝いたのは『進撃の巨人』、2023年の1位に輝いたのは『呪術廻戦』であったとのこと。
しかし、海外アニメ市場は日本ほどにメディアミックスがうまく機能しておらず、アニメ作品そのものが大きな利益を生み出せるかが明暗を分けるという。森氏は「日本のビジネス生態系をどのようにして海外に持っていくかが重要です」と続けた。
コア層に向けた展開からマス市場に進出した『ゴジラ』
次に、シノハラ氏が米国ライセンス商品市場の変化について講演した。動画配信サービスが隆盛する前、CATVが全盛だった頃のライセンス商品ビジネスは「CATVの放送枠にかぎりがある」、「放送からグッズ展開までに約1年~1年半ほどのブランクが空いてしまう(=そこまでのビジネスプランを提示する必要がある)」と非常にハードルが高いものであった。