スカイダンスとパラマウントの合併交渉が再開、買収額は約2,700億円になるか

先月、交渉は決裂したと報じられていたが、スカイダンスとパラマウントの合併に暫定合意が出たようだ。

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シャリー・レッドストーン
Photo by Kevin Dietsch/Getty Images シャリー・レッドストーン

スカイダンス・メディアとパラマウント・グローバルの合併交渉が再開され、両企業が暫定合意に達したと報じられている。

今年4月、米メディア大手パラマウント・グローバルが、デヴィッド・エリソン氏が率いる映画製作会社スカイダンス・メディアとM&Aの契約締結に向けて、大きな一歩を踏み出したと伝えられた。しかし、その約2ヶ月後となる6月には、パラマウント・グローバルの過半数以上となる株式を保有するナショナル・アミューズメンツ(以下、NAI)の支配株主シャリー・レッドストーン会長が、スカイダンスとの交渉が決裂したと発表。すでに次なるM&A候補が現れていると報じられ、両社ともに別々の道を歩むべく前進したと見られていた。


ところが7月3日、シャリー・レッドストーン氏のナショナル・アミューズメンツ(NAI)とデヴィッド・エリソン氏のスカイダンス・メディアは、パラマウント・グローバルの所有権変更につながる可能性のある協議を再開しているとThe Hollywood Reporterが報じている。次の段階として、暫定合意についてパラマウントの取締役会が任命した特別委員会にて話し合われるとのこと。

IndieWireによると、スカイダンスはNAIの買収に17億5,000万ドル(現為替で約2,800億円)を支払う予定だという。以前、スカイダンスは総額80億ドル(約1兆2,500億円)のうち20億ドル(約3,200億円)をNAIに支払う計画だと伝えられていた。ついに両社は暫定合意に達した訳だが、スカイダンスとNAIは他の買い手が参入できるよう、「ゴーショップ条項」にも合意している。

「ゴーショップ条項」とは、M&A契約締結後に売却者が自発的に別の買収者を探し、有利なオファーを得るために交渉を行う期間のこと。よって、スカイダンスを上回る買収額や好条件を提示する企業が現れれば、暫定合意が覆される可能性もある。現時点では、スカイダンスとNAIの広報担当者はコメント要請に応じておらず、合併に関するその他の条件は明かされていない。

M&A実現後はどうなる?

M&Aが実現して規制当局の承認が得られれば、エリソン氏が同社の新CEOに就任し、元NBCユニバーサル社長のジェフ・シェル氏、投資会社レッドバードのCEO(最高経営責任者)ジェフ・ザッカー氏、スカイダンスでクリエイティブ・チーフを務めるダナ・ゴールドバーグ氏が、新会社で大きな役割を担う可能性がある。

パラマウント・グローバルは、パラマウント・ピクチャーズをはじめ地上波局のCBS、配信サービスのParamount+、無料の広告付き配信サービスのプルートTV、子ども向けチャンネルのニコロデオンやMTVなどのケーブルチャンネルを所有している。

スカイダンスとパラマウントは、これまで『トップガン マーベリック』や『ミッション:インポッシブル』シリーズをはじめとする大作映画でタッグを組んで大ヒットを放ってきた。M&Aが実現すれば、ハリウッドでかなりパワフルな存在になりそうだ。

《Hollywood》

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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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