カナダ連邦政府による3年間の2,300万カナダドル(約26億3,000万円)の支援によって支えられるこの新たな取り組みは、あらゆるプラットフォームにおけるスクリーンベースのプロジェクト、IP、没入型の革新的なコンテンツを売買する北米のハブとして構想されている。CEOのキャメロン・ベイリー氏によると、TIFFは現在の年間約5,000人の業界代表団を、最初の5年で約12,000人にまで増やしたいと考えているとのこと。チーフ・プログラミング・オフィサーであるアニタ・リー氏は「このマーケットは、国際映画産業全体にとって大きな変化をもたらすきっかけとなり、TIFFの作品だけでなく、カナダ国内および世界における文化セクター全体の重要性と経済的価値をさらに高めることになるでしょう」と述べている。
英国のインディペンデント・エンターテインメントのインターナショナル・セールス担当マネージング・ディレクターであるサラ・レブッチ氏は「私たちは皆、何年も前からそうなることを望んでいました。TIFFのような賑やかな映画祭と並行してマーケットが開催されることは、ビジネスにとって良いことです」と前向きなコメントを寄せる一方、2ヵ月後にアメリカン・フィルム・マーケット(AFM)が開催されることから、「両方に行くのは、多くの企業にとって高すぎる」と懸念の声も挙がっている。また、別の情報筋は、予算を計画する際に選択を迫られた場合、夏の終わりのトロントではなく、11月に暖かいアメリカ西海岸を訪れることを好むバイヤーが増えるだろうとの見解を示している。
さらにScreen Dailyは、この取り組みによる収益予測を共有するのは時期尚早だという。TIFFは将来性のある企業パートナーと交渉中であり、地方公共団体や民間の支援者が時間をかけて参加することを望んでいるようだ。特にコロナ禍後、TIFFはパンデミックの影響とベル社を含む映画祭スポンサーの喪失により財政が悪化。組織の商業的な存続可能性を改善するようプレッシャーにさらされてきた。その影響もあってか、毎年カンヌにて開催しているビーチパーティを今年は中止に。ベイリー氏は来年は“リフレッシュ版”を開催することを約束した。
第49回トロント国際映画祭は、2024年9月5日(木)から15日(日)まで開催される。