アニメにインスパイアされたNFT「Azuki」が谷口悟朗氏を迎えてアニメを制作。日本アニメの流通に風穴を開けるか

4月15日の夜、あるアニメのプレミア上映パーティーに多くの外国人が集まっていた。AzukiというNFTプロジェクトのコミュニティが開催するオフラインパーティーだ。

テクノロジー NFT
アニメにインスパイアされたNFT「Azuki」が谷口悟朗氏を迎えてアニメを制作。日本アニメの流通に風穴を開けるか
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4月15日の夜、秋葉原の神田明神に多くの外国人が集まっていた。目当ては神社や桜ではなく、あるアニメのプレミア上映パーティーだ。

神田明神ホールで開催された「Azuki Garden Tour Tokyo」はAzukiというNFTプロジェクトのコミュニティが開催するオフラインパーティーだ。ここで『コードギアス』シリーズや『ONE PIECE FILM RED』の谷口悟朗氏による新作アニメが世界でいち早くお披露目された。

「Azuki Garden Tour Tokyo」の様子。

近年、アートの新たなマーケットとして注目されるNFTだが、今、アニメの感性を活かしたあるNFTがにわかに注目されている。

Azuki(アズキ)は、2022年1月に8,700点のNFTコレクションを発行した。アニメにインスパイアされたクールなデザインが特徴で、僅か3分で完売。売上の合計は約36億円に達したという。その後、Azukiは熱狂的なコミュニティが世界各地で生まれ、Azuki Garden Tour Tokyoのような催しが世界の色々なところで開催されている。そして、同NFTコレクションが発表されてから約2年、このプロジェクトからオリジナルアニメが誕生した。

Azukiの狙いは何か、そして日本アニメにどんな影響をもたらすのだろうか。

Azukiプロジェクトとは

Azukiはアメリカのスタートアップ「Chiru Labs」がリリースした、日本アニメ風のイラストとストリートスタイルを組み合わせた、横顔のキャラクターが人気のコレクティブNFTだ。

メンバーは皆、子どもの頃から日本のアニメのファンだそうで、「サムライチャンプルー」や「カウボーイビバップ」、「NARUTO-ナルト-」といった名作アニメに深く影響を受けているという。Azukiの名前の由来は、日本語の「小豆」だ。これは「豆はブランドの成長と可能性を象徴している」ことからこの名前がつけられたそうだ。

AzukiのNFTは、第一弾の一時取引の段階で36億円を稼ぎ出し注目されたが、二次取引での総取引額は約14.5億ドル(約2,238億円)にも上り、NFT取引高世界2位の実績を誇るという。購入者によるコミュニティが非常に活発で、レッドブルのような企業とコラボした際には、ホルダーたちは積極的に応援したという。米国、アジア、ヨーロッパと世界各地にホルダーは広がっていて、主に富裕層の20代から40代を中心としたコミュニティが形成されているとのこと。

Azukiは3つの基本理念を掲げている。

  1. dope shit only/イケているもののみしか目指さない

  2. community first/コミュニティファーストであること

  3. trust process/過程を信じること

これらの理念に沿って、コミュニティはWeb3とアニメ業界に特別な体験をもたらすことを目指しているという。

Azukiのホルダーは、日本にもいる。「Azuki Garden Tour Tokyo」のようなオフラインイベントを主催しているのも日本人だ。Azukiは他のNFTアートと何が違うのだろうか。ある日本人Azukiコレクターは、「公式がコミュニティを良くサポートしてくれて、コミュニティのメンバーがやりたいことを実現してくれる。(コレクターの中に)投機目的の人がいないわけではないが、多くの人は利益よりも好きなものを一緒に盛り上げたいという動機で参加している」という。

パーティー会場には、Azuki のコミュニティメンバーのアーティストが描いたファンアートをあしらった(※)大きなポスターが掲げられており、来場記念に多くの人がサインを書き込んでいた。中にはイラストを描く人もいる。会場には日本のゲームセンターでお馴染みのクレーンゲームが用意されていて、多くの来場者が行列を作っていた。この会場は、アニメカルチャー好きの若者が国の垣根を超えて一緒に楽しんでいる空間だった。

※AzukiプロジェクトはNFTホルダーの2次創作を公式に認めている。

イベント会場内のクレーンゲーム。

谷口悟朗がAzukiと作るアニメとは

そんなAzukiは、現在谷口悟朗氏をクリエイティブプロデューサーに迎えてアニメプロジェクトを進行させている。

5月1日にYouTubeで公開された『Enter The Garden』エピソード1「The Waiting Man -待つ男-」(監督:山元準一)は、全3部作の1本目の作品で、Azukiの世界観を体現するアニメプロジェクトだという。

物語には、創業者の想いや経験が反映されており、Azukiのコレクターたちが所有するキャラクターも登場する。自分たちが所有するキャラクターがアニメの世界で生き生きと動くことに感動しているようで、プレミア上映時、キャラクターが登場すると喝采が送られた。

このアニメプロジェクトは、Azukiの世界を拡げるための基盤になるという。Azukiのアニメプロジェクトに谷口氏を選んだ理由は、「谷口さんと話し合う中で、Web3への関心とそこから生まれるアニメ作品の探求心に興奮を覚え、コラボ相手に最適」だと考えたからだとAzukiのメンバーたちは語る。

谷口氏もNFT発のアニメ企画の可能性について、こう語る。

「アニメーションの作り方に新しい可能性を生み出すことができるのではないか。そして、この企画にかかわったスタッフにも何らかの形で還元できるような面白い試みになるのではと思っています。(新しい可能性を模索することで)アニメーションに対しての恩返しになればいいなと思います。メンバーの方とお会いしましたが、日本のオタクと同じ匂いを感じましたし、これならやっていけるんじゃないかと思いました」

アニメ産業に風穴を開けることを期待

この米国発のNFTプロジェクトは、日本のアニメ業界に何か影響を与えるのだろうか。ファウンダーたちは、アニメ業界の制作や配給にNFTを活用できる道を模索したいと考えているようだ。


《杉本穂高》

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杉本穂高

映画ライター 杉本穂高

映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。

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