フランスのシンクタンクLab Femmes de Cinémaは、2017年から2023年までの6年間におけるヨーロッパ全体のジェンダー平等に関する取り組みの進捗状況を調査。
現状、2013年から2022年の間に女性監督による作品のヨーロッパ平均シェアは19.9%から22.4%に上昇しているものの、未だ割合は低く、現在の進捗率ではヨーロッパが男女平等を達成するのは2080年になってからになると予測される結果となった。
また、平均予算がアニメーションや劇映画よりはるかに低いドキュメンタリー映画では、女性監督の割合が高いことも明らかに。ヨーロッパにおける女性監督の割合の問題だけでなく、女性監督に割り当てられる総予算の割合が低いという問題もあるとのことだ。
国別の対策に見てみると、調査対象となったヨーロッパ36ヵ国のうち、16ヵ国が映画業界内の性的虐待撲滅を目的とした施策を実施し、13ヵ国がジェンダー平等と多様性を促進するツールとして助成金の提供を申請し始めたことがわかった。さらに、6ヵ国が映画業界で働く子持ちの人々を支援するための奨励政策を導入し始めている。映画産業における同等性を促進する措置を導入していない、または導入する予定がない国はわずか5ヵ国(ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、セルビア、スロバキア、ウクライナ)で、合計35ヵ国が推進策を導入済みまたは導入予定である。
そのような様々な施策が実施・検討されている一方で、スペイン以外の国はクオータ制に消極的であることも浮き彫りになった。イギリス、オーストリア、ノルウェーは(クオータ制を推奨する)ハイブリッドクオーター制を導入している。
本調査の詳しい結果や国別の実施政策リストはこちらから。