3月22日(金)、映画俳優組合 - 米国テレビおよびラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)が、TVアニメ番組に携わる声優に関する新たな3年契約を結んだと発表した。
Varietyによると新契約は、2023年に約4ヵ月にわたって続いたSAG-AFTRAのストライキで最大の論点となった、AI(人工知能)が俳優に取って代わる懸念に起因している。
TV・映画の実写作品に関する契約の批准プロセスでは、アニメ番組におけるAIの定義が明確になっていない点が論争の種となっていた。ストライキの最中、SAG-AFTRAのダンカン・クラブツリー=アイルランド事務局長は、「“俳優を人間だと定義する”ことは、AIの悪用に対する効果的な保護対策にはならない」と主張。「必要なのは、こうした企業の行為に対する実質的な保護です。聞こえが良いだけで、実際には守ってくれないようなものではダメなのです」と強調していた。
ストライキの終了時、TVアニメに関する条件は実写版作品の契約に大概は準じていたものの、いくつか違う点があり、SAG-AFTRAは「アニメーションの声優は人間でなければならない」との文面を契約に入れるよう訴えていた。
ついに、その交渉が実を結び、SAG-AFTRAは公式X(旧Twitter)アカウントにて、95.5%の支持を得て批准されたことを報告。実写作品と同様にTVアニメの契約でも、俳優の声を再現する「デジタル・レプリカ」の使用に関する同意と補償を規定している。
またスタジオは、合成音声の作成で俳優の名前をクレジットすることに同意を得る必要があり、新契約では合成音声を制作するたびに、SAG-AFTRAに報告することが義務づけられている。
そしてSAG-AFTRAは、最終的に作品で使われた音声が俳優の声に似ていなくとも、「その貢献に対して報酬を受け取るに値する」と主張する機会も得られるという。しかし同契約は、音声が実際の声優やキャラクターと同じに聞こえない限り、制作スタジオが過去の演技を基にAIモデルを訓練し、「合成音声」を作成する可能性を妨げるものではない。
TVアニメの新契約では、配信サービスで最も視聴された番組に対する「成功報酬」も含まれている。