世界の映画制作団体が一致団結、「大手ストリーミング企業のローカルコンテンツへの支援」を政府に要請

各国の団体は、独立系プロデューサーとプラットフォーム間の「商業交渉力の不均衡」を是正することを主張している。

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世界各地を代表する映画制作団体がローカルコンテンツを守るために一致団結し、NetflixやDisney+といった大手ストリーミング企業の規制を要請する共同声明を、世界各国の政府に向けて発表した。

Varietyによると、共同声明の発表に名を連ねるのは、ヨーロッパのインディペンデント映画・TVドラマのトッププロデューサーを代表するヨーロッパ・プロデューサーズ・クラブやイタリアのTVプロデューサー協会、スペインのインディペンデント映画プロデューサー協会、カナダ・メディア・プロデューサー協会、オーストラリアの映画制作者協会など20の著名な映画制作団体だ。

この異例となる共同声明は、2023年に各大手ストリーミング企業が自社の収益性を高めるために、多くの市場でローカルコンテンツの獲得や委託を縮小したことを受けて発せられたもの。これらの企業の台頭で、配信サービスが従来の地上放送局などのリニアTVに取って代わるようになり、大手エンターテイメント企業はDTC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)サービスに事業の焦点を絞らざるを得なくなっているとのことだ。

この傾向は年々強くなる一方で、大手ストリーミング企業の支配により、多くの国々で地域の文化を基にした地域言語による番組制作や、インディペンデント映画の制作会社が脅威にさらされている状態だ。

Screen Dailyによると、共同声明を出した一連の団体は、「ローカルコンテンツは文化的にも経済的にも重要であり、戦略的な国家資産である」とし、「ローカルの視聴者は利用している全プラットフォームにおいて、その地域で制作された新作に幅広くアクセス可能であるべきだ」と訴えている。

また、声明には、「ローカル市場でビジネスを行うことで経済的な利益を得るプラットフォームは、その地域の視聴者が恩恵を受けられるよう、新たなローカルコンテンツの創造に比例して財政的に貢献すべきだ」と記され、大手ストリーミング企業による経済的支援の必要性に言及。 続けて、視聴者の期待に応えるために必要なものとして、開発・制作・ポストプロダクションを含む健全なスクリーン部門の維持と支援、雇用や経済活動、業界のスキルアップなどの提供を挙げている。

さらに各団体は、ローカルコンテンツとその作品を制作する企業の重要性に対する政府の認識を求めており、政府は市場の失敗に対処し、独立系作品のプロデューサーとプラットフォームの間に存在する「商業的な交渉力の不均衡」を是正すべきだと主張。続けて、独立系系映画会社は、知的財産(IP)・作品の権利の所有・管理を保持すべきだとも訴えた。

ここ最近で、大手ストリーミング企業に対して不満の声を上げたのは、これら20の映画制作団体だけではない。昨年は、映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟と全米脚本家組合がストライキでストリーミング企業に対し、プラットフォームでリリースされた作品の再配信料の支払いを要求していた。

《Hollywood》
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ロサンゼルスに11年在住していた海外エンタメ翻訳家/ライター。海外ドラマと洋画が大好き。趣味は海外旅行と料理、読書とカメラ。

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