Photo by:Tomohiko Nogi
10年ぶりの宮﨑駿監督最新作として、日本国内でも86億円超えのヒットを記録している『君たちはどう生きるか』。
日本では前代未聞となる予告編なしの宣伝や、難解なテーマに様々な議論を呼んだ本作だが、ついに12月8日(金)北米での公開がスタートする。先週は『ゴジラ -1.0』が非英語作品として2023年No.1となるスタートを記録したばかりだが、今週も日本作品の大躍進を見ることができるのか。今回は『君たちはどう生きるか』における海外での活躍について大きく取り上げていきたい。
韓国、フランス市場は大熱狂
ついに今週から世界最大規模の北米市場で公開が始まる本作だが、ひと足先に上映が始まった韓国やフランスではすでに大ヒットしている。
韓国では、昨年熱狂的ヒットとなった『すずめの戸締まり』をも上回る滑り出しを記録し、現在の動員数は200万人に迫る勢い。これは韓国において『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』や『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』などの海外作品をも上回る数字となっている。
フランスでも、ジブリ作品歴代最高のスタートを記録し、300億円規模の予算がかかったハリウッド作品と対等に渡り合う粘り強い興行展開に。こちらも動員数は150万人にも迫る勢いとなっており、既に『千と千尋の神隠し(112万人)』『ハウルの動く城(120万人)』の最終興収をも上回る大ヒットとなっている。スタジオ最高ヒットが確実視
では、北米市場ではどれくらいのヒットが期待できるだろうか。まず、上映規模から見てみると、その数は2,100館ほどとなっている。ハリウッド大作に比べれば半分ほどの上映規模ではあるが、スタジオジブリ作品としては『借りぐらしのアリエッティ』の1,522館を上回る歴代最高の公開規模となる。これには近年のアニメ市場の拡大も少なからず影響していると考えられる。配給はGKIDSというスタジオジブリ作品の北米配給権を持つ会社で、2017年からディズニーから権利を引き継ぐ形で配給権を手に入れた。そして、その年から毎年行われてきたのが「スタジオジブリ・フェスト」。スタジオジブリの旧作などを劇場にて上映するイベントで、今年はなんと『千と千尋の神隠し』の舞台映像も劇場で公開するなど挑戦的な試みも多く行っている。本作の広がりは、このようなイベントを絡めたPR活動の賜物とも言えるかもしれない。
>Brancではトロント国際映画祭でGKIDSのCEO・エリック・ベックマン氏と社長のデビッド・ジェステアト氏を直撃!